最新号68号が発刊されました

68号特集
豊島区 平成28年度予算案を見る

「住み続けたいまち」のために
4つの重点分野と特色ある事業は

池袋のメインストリート「グリーン大通り」
byみんたん

今月のキラリ人
キャリアデザイン講師 本多絵理子さん

先進まちづくり事例
「要町あさやけ子ども食堂子ども食堂」

NEW Frontier
新スタイルの旅館&カフェ「シーナと一平」

池袋モンパルナスのココロ
グループ展から公募展へ「1930年協会」

などなど盛りだくさん

特集:豊島区28年度予算案を見る
28年度予算
「住み続けたいまち」のために
4つの重点分野と特色ある事業は

豊島区の平成28年度予算案が公表された。
区はこの予算の特徴を、『持続発展都市を目指して積極的に施策を展開する予算』『住み続けたい街の創造に向けて計画的に投資する予算』『将来に渡る安定的な財政運営確立に道筋をつけた予算』と説明した。
28年度からスターとする新たな基本計画に掲げた持続発展都市づくりに向けての予算案には「女性にやさしい街づくり」「高齢化への対応」「様々な地域との共生」「日本の推進力」の4つの柱で重点化し、新規拡充事業を展開するとしている。
28年度予算方針と新規・拡充の内容を中心に紹介する。

高い水準で続く計画的な
投資のために基金を
使わず起債で対応

一般会計の当初予算規模は1218億8百万円、対前年度比104億1千2百万円で9.3%増となり、3年連続で過去最大規模となった。
これは、造幣局地区防災公園街区整備事業や豊島区民センター改築経費の新たな計上に加え、池袋第三小学校と池袋本町地区小中連携校の2校の改築工事が竣工となること、また大塚駅自転車駐車場の建設や旧勤労福祉会館の大規模改修などが重なることから投資的経費が大幅に増えたため、歳入で起債額を昨年より倍増し、114億1千2百万円と当初予算額では過去最大の規模としたことによるもの。つまり歳出経費が増えたため借金で歳入分を増やした結果、予算規模が拡大したということになる。
歳入の基本となる特別区民税は8億3千8百万円の増、前年度比3.2%のプラスが見込めており、課税人口は堅実に増えていることが窺える。今回、増大した歳出の不足分を財政調整基金からの充当ではなく起債で対応する案にしたのは、今後も喫緊の区民需要に応える投資的経費を可能にするために、基金は積み増していきたいと説明があった。確かに23区の中では墨田区と目黒区と本区の3区だけが貯金よりも借金の多い債務超過となっているのも事実。こうしたなかで、今後も学校改築や防災まちづくり、旧庁舎跡地整備など投資的経費が高い水準で続くことを考えれば、『住み続けたい街の創造に向けて計画的に投資する』ために『将来に渡る安定的な財政運営確立に道筋をつける』ことが課題だということは十分理解できる。

4つの重点分野の
特色ある新規10事業は

28年度の新規・拡充事業は全210事業、約65億8千万円。特色ある新規事業10件を挙げてみる(事業数と予算額は表のとおり)

(1)女性にやさしいまちづくり
①民間から採用「女性にやさしいまちづくり担当課長」の新設…マーケティング、ブランディング、PR等のノウハウを持つ人材を公募。戦略的多角的に推進を図る。1月の公募には25名が応募したという。採用は1名。(4475万円 健康推進課・子育て支援課)
②ゆりかご・としま事業…妊娠届時に助産師による「ゆりかご面接」、出産後に保育士による「おめでとう面接」の2度の面接とそれぞれ5千円相当の応援グッズをプレゼントして継続的な支援につなげる。(4475万円)
③全小中学校を清潔で安心な洋式トイレに大改修…今後3年間で全区立小中学校のトイレを改修する。(5億1594万円 学校施設課)
④ひとり親家庭等の子どもに対する学習支援・親に対する高等学校卒業程度認定試験合格支援…子どもには教室型と派遣型で学習支援を行い、親には講座受講の費用を最大全額補助する。(992万円 子育て支援課)

(2)高齢化への対応
⑤豊島区版CCRC構想…姉妹都市である秩父市と連携して、自然豊かな地域に元気なうちから移住を考える高齢者やその家族の希望に対応する施策を計画する。(1千万円 企画課)
⑥地域リハビリテーション活動支援事業…リハビリ専門職が介護予防サロンの巡回や勉強会等でサロンの介護予防機能強化、サポーターのスキルアップを図る。23区初。(235万円 地域包括ケア推進担当課)

(3)日本の推進力
「国際アート・カルチャー都市」
⑦国際競争力強化推進事業…池袋エリアのブランディングや外国企業等を呼び込むための戦略の策定、シティセールスに向けた調査検討を行う。(二千万円 副都心再生担当課)
⑧南長崎マンガランド事業…トキワ荘のあった街に、豊島区ゆかりの漫画家たちの作品がモニュメントになって登場。さらに「トキワ荘復元に向けた基本計画」案も策定に取り組む。(1248万円文化観光課)

(4)安全・安心まちづくり
⑨総合防災システム強化…新庁舎開設に合わせて構築した「総合防災システム」の能力を最大限に発揮する危機管理体制の強化として自衛隊OBを危機管理監に採用。災害弱者となりやすい高齢者や障害者を対象とする「福祉救援センター」(計11施設)に簡易マットや車いすなど資機材を整備する。(741万円)
⑩地域区民ひろばの全日曜開館…新たな世代層にも利用してもらうよう、3年計画ですべての日曜日を開館し、子育て世代を中心とした事業を展開する。(968万円 地域区民ひろば課)

地域の特色ある
新規事業は

〈駒込〉
○ソメイヨシノアーカイブを整備(418万円)
〈巣鴨〉
○巣鴨地蔵通り無電柱化予備設計・詳細設計(1億円)〈雑司が谷〉
○雑司が谷未来遺産推進事業(550万円)
〈東池袋〉
○グリーン大通りエリアマネジメント推進・街路美化事業(1943万円)
〈南池袋〉
○レストランのある公園「南池袋公園」管理運営(2500万円)
〈長崎〉
○長崎公園・長崎四丁目児童遊園の改善ワークショップ(450万円)

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