とっぴぃ豊島の選択116号が発刊されました

116号特集
シリーズとしま共創トークvol.3『オールとしま』のまちづくり とは。富澤弘治さん(国際交流のおみこしを担ぐ会会長)&中島明さん(「としま会議」主宰)の対談です。

特集2は、令和3年 第二回区議会定例会の答弁より
・「池袋西口開発の展望と 未来について」高野之夫 豊島区長
・「治安対策に対する決意」岡谷晃治 豊島区危機管理監/p>

今月号の表紙は、大観衆のなかで歓声と歓喜の景色を待ち望んでいた…。東京2020大会コミュニティライブサイト…中止。現在のグローバルリングの様子です。

好評連載陣は
・みんたんの選択「気持ちよく汗を流そう!豊島区のスポーツ施設」
・古市コータローさん「池袋疾走日記」
・東谷仁さん「豊島区の文化的遺産としての「新教育」運動」
・城所信英さん「街のこころ 大塚ものがたり⑨ 日本初の社会福祉施設「養育院」と「廃兵院」の巻
・小出幹雄さん「トキワ荘のある街から」戦前に現・目白5丁目にあった「中央美術社」について
・雑司ヶ谷物語
など

特別レポート
姉妹都市「秩父市」レポート「豊島区との交流事業「アレコレ」、今どうなってますか」(後編「としまの森とは」)

他にもアートや漫画、演劇などの紹介コーナーも充実でお届けしていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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特集は以下から読めます。

特集:としま共創トーク『オールとしま』のまちづくり とは。


中島:豊島区に住んで15年になります。豊島区の住民の方々が出会うコミュニケーションの場「としま会議」を7年前から始めて、これまで49回開催しました。ご登場いただいたゲストの方は227名になります。主に豊島区で暮らす新住民の方を対象に、街に関わるきっかけ作りの場になっています。また、巣鴨と大塚にあるシェアオフィスRYOZAN PARK(リョーザンパーク)では創業支援マネージャーを、豊島区と一緒に企画した「としまぐらし会議」ではアドバイザーを務めています。JR東日本や良品計画などと地域イベントなどの企画も行っています。僕はもともとマーケティング畑出身で、企業と生活者の間にコミュニティをつくることを本業にしていまして、打ち上げ花火的になりがちなイベントをどう継続してコミュニティとして育てていくか、「点を線にして、面にしていく」仕事をしています。
僕のような新しく住み始めて地域に知り合いの少ない人は、どうやったら地域に関わりをつくったり楽しめるようになったりするか、と考えて始めた試みが「としま会議」です。

富澤:僕は南池袋で生まれ育って66年、家業の電器屋を継いで2代目です。35歳の時に地元の若手経営者が集う東京青年会議所(JC)に入会してから「まちづくり」に興味を持ちました。最初に関わったのはサンシャインのお隣の東池袋中央公園で開催した「インターナショナル・コミュニケーション92’」というイベントです。これは外国人の方に豊島区を知ってもらうことを目的に行いました。その当時、池袋の西口側で外国人の住民が増えて、ゴミ出しのルールが守られないとか、一つの部屋に10名ぐらいが登録しないで住んでいるとか、街娼がいるなどの「外国人問題」が街の話題になっていました。そこでJCの会議で、これを解決するには、まずは地域に住む外国人の方にも地元に関心を持ってもらい、地元の住民と触れ合ってもらうことから始めよう、ということになったのです。街を歩きまわるスタンプラリーや「野立て」「綿あめ」などの日本独特の催しをしたところ、2000人もの参加者があり、たいへん盛り上がりました。そこで翌年は、外国からの留学生や立教大学の教授を招いてパネルディスカッションを行いました。すると今度は参加者が100名ぐらいで、外国人問題に興味を持つ人だけの参加では街への効果は少ないと気づき、そのまた翌年には「外国人と一緒にふくろ祭りでおみこしを担ごう」が始まったのです。そこからはJCだけでなく日中友好協会やNPOの方々などと一緒に継続してきました。そうした繋がりから池袋の街を良くしたいという企画をする方々の相談を受けたり、提案を受けたり、一緒に動ける仲間を紹介したりしているうちに関係する活動グループがどんどん増えてきて、今では20を超える地元のまちづくり関連の役職を受けるようになってしまいました。

◎「オールとしま」とは
中島:富澤さんは地元の商店主として町会や商店会や地域のいろいろな団体の方々と顔が見える関係にありますよね。まちに関わるときに、ハブとなる人の存在は本当に大きいなと思います。
豊島区ではよく「オールとしま」という言葉を使いますよね。僕は先日行われた基本構想審議会で、この「オールとしま」について質問してみたのですが、この言葉は人によって捉え方が違うように感じています。「オールとしま」は、区役所から見た〝主要な地縁団体の人たちすべて〟とも感じられるし、いやもっと広く〝豊島区に住む人たちすべて〟なんだとすれば、いわゆる「地元のみんな」っていう中に僕のような新住民も視野に入っているのだろうか、という気持ちにもなりました。豊島区にオフィスがある人たちは1週間の大半の部分を豊島区内で過ごす人も多いですし、また区内に所在する企業に勤務している人たちも豊島区という街を身近に感じているはずです。そういう人たちも「地元のみんな」の中に入ることが必要じゃないかと考えています。「としま会議」に参加している人たちを見ると、コロナ禍も手伝って、まちへの気持ちがつよくなっていて、暮らしが近い豊島区は今チャンスだと感じています。豊島区の魅力を表す言葉の一つが「オールとしま」なのだとすれば、それはいろいろなプレイヤーがいて、そうした多様なグラデーションがもっと出せることだとではないかな、と考えています。

富澤:僕はこれまであまり「オールとしま」について意識したことはないんだけれど、中島さんたちからすれば、地域のお祭りや初めて知るような地域組織に入っていくのは確かに勇気がいることかもしれないね。「地元のみんな」に自分が入っているのか、という感覚は、僕にはなかったけれど、気持ちはわかります。僕自身は、街の行事がそんなに好きなのかと言われると実はそうでもないんだけれど、「街に関心を持ってほしい」という気持ちでやっています。いろいろな人が街に関心を持ってくれれば、街の良くないところを直せたり、楽しいところを共有できたり、一緒に環境を良くするパワーが生まれると思うんです。

◎声をかけられるとうれしい
中島:そうなんです。僕も数年前にようやく自分の住む町会に参加して、お祭りにも出ようと決心したんですけど、正直、誰もあまり話しかけてくれないし、誰も丁寧に教えてくれなくて(笑)。それでもがんばって土・日2日間参加して、ようやく日曜日ぐらいに少し話ができて知り合えたかなと思ったときには終わっちゃうんですよね。それで翌月曜日の片付けにも顔を出したら、70代の先輩方が数名で、すごく大変そうに片づけをしているんです。その時に、やっとゆっくり話ができるようにもなって、気がついたら、ある日突然、町会のスケジュールが送られてきました。いまではすっかり町会のメンバーです(笑)。一昨年、うっかり祭りの週に出張をいれてしまって、参加しなかったことを叱ってくれた先輩がいたんですけど、「少しは受け入れてもらえたのかな」とそれも嬉しい体験になりました。そんな0か100かみたいな進展に驚くやら戸惑うやらでしたが、町会に関わってよかったなと思っています。

富澤:自分が実際に参加してるっていう実感はやっぱり楽しいんだよね。「楽しい」だけで「まちづくり」になるわけではないけれど、見ているだけでは得るものも少ないよね。町会の年寄りたちもうれしかったんじゃないかな。新しい人に関心を持ってもらえるのはとてもうれしいことですよ。年寄りは、街を良くする為に何かを頼まれたり、聞かれたりするの、うれしいんですよ。参考になる経験をたくさん積んでいるし、一緒にやってきた知り合いや仲間も多いし。

中島:一緒にやってきた仲間がいるって心強いですよね。今、僕たちもその過程にいるように思います。いろいろなことにチャレンジして、いろんな場面、それこそ苦楽を共にしてきた仲間たちと、その先にできる関係や繋がりがどうなるかも楽しみなんです。「としま会議」で知り合った仲間といろんなとこに出かけたりする話も増えています。

富澤:そういえば僕も仲間たちと行ったね。「池袋の路面電車とまちづくりの会」では岡山や富山のトラムによるまちづくりを見学に行ったこともあるよ。僕らの一回り先輩たちは団体視察で海外にも行ってたんじゃないかな。そういう経験が幅広い人との交流を築いて繋がっていったりするよね。

◎いろいろな人が多様に活躍
富澤:そして、そこで一緒に同じそして、そこで一緒に同じものを見ていても、いろいろな見方をする人がいるってこともわかるんだよね。みんなが一つになって同じことを考える、行動するということだけではなくて、それぞれの興味や意義を見出す対象が違うところを理解しあう機会にもなるよね。「オールとしま」の意味は、さまざまな人たちが多様な場所で活動していることに良さがあるという捉え方もできると思います。中島さんが最初に言ってくれた「いろいろなプレイヤーが活躍できて、多様な活動によるグラデーションが出せること」という言葉に賛成です。

中島:みんなが多様な活動をしながらも、ある時はこの座組で、次はこの座組で、と必要な状況によって連携できる、そんな繋がりがいいですね。池袋東口のグリーン大通りでマルシェなどを展開している「イケブクロ リビング ループ」のプロジェクトでは、想いある地元企業・地元商店主・地元住民が新しいチームをつくり、街のあらたな日常を創るチャレンジをしています。池袋以外の地域でも、それぞれの個性あるプロジェクトが動いています。

富澤:「池袋の路面電車とまちづくりの会」が15年ほど前から提案してきたのは「池袋駅前をみんなが集まれる広場にしたい」ということです。豊島区は池袋駅東西に駅前広場を計画して「ウォーカブルなまち」を目指しています。「イケブクロ リビング ループ」はその夢に先駆けて公民連携の実例を見せてくれていますね。

◎一つになるべき課題もある
富澤:みんなが一つになるべき課題もあって、それは「安心・安全なまちづくり」だと思います。思い起せば、20年ほど前の「池袋東口場外車券売場設置反対運動」や7年前の「違法ドラッグ撲滅運動」は、まさに「オールとしま」でした。 豊島区のまちづくりは、かつてのいろいろな活動や思いがつながっていると思います。そういう力が土地の魂として培われているんです。年寄りにまちを良くする為の新しい考えの企画をどんどん持って行ってください。年寄りは喜びますよ。若い人たちと話をしたいと思っているんです。年寄りに聞きに行って、頼みごとをしてみてください。そして中島さんたちの発想と行動で、より良い継続して輝く豊島区を作っていってください。

中島:富澤さんにも、いろいろ頼みに行っていいですか。

富澤:どうぞ来てください。でも仕事があるので、来る前に連絡くださいね(笑)

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2021年8月3日
㈱サンシャインシティ共創空間にて
◎としま共創トークは㈱サンシャインシティと「とっぴぃ」の共同企画です。豊島区のまちづくりの好循環をゲストの方の対談によって模索していきます。
「とっぴい」で要約版を掲載し、対談録は今後ホームページで公開する予定です。

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溝口禎三 著

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