とっぴぃ「豊島の選択」最新号(119号)が発刊されました。

119号
今回は新年増量ページ、大特集号です。
特集①共創トークVol.6  新春特別対談 祝!豊島区90周年 
100周年に向けて『ウォーカブルなまちづくり』への期待
~輝く未来 開こう としま新時代~
高野之夫(豊島区長)&
合場直人(株式会社サンシャインシティ代表取締役社長)

特集②
豊島区令和4年度予算案を見る

特集③ 新春コメント
『2022 祝 豊島区制90周年』

好評連載
みんたんの選択
新しい「無印」の魅力に出会える「MUJIcom 東池袋 オープン! 」

池袋疾走日記 第35回
古市コータローさん

街のこころ 大塚ものがたり⑫
一万円札と五千円札の居た街 の巻
城所信英さん

雑司ヶ谷物語 第44回
異人館〟として名物だったリヒャルト・ハイゼの住む家(その1)

豊島区の文化的遺産としての「新教育」運動
第十二回  淑徳巣鴨中学高等学校 
東谷仁さん

令和4年第一回豊島区議会

区長招集挨拶

などなど、今回も盛り沢山でお届けしています。

通信販売はこちらから
ご購入はこちらから


特集は以下から読めます。

特集①共創トークVol.6  新春特別対談 祝!豊島区90周年 
100周年に向けて『ウォーカブルなまちづくり』への期待
~輝く未来 開こう としま新時代~
高野之夫(豊島区長)&
合場直人(株式会社サンシャインシティ代表取締役社長)

高野区長:今年は豊島区が昭和7年(1932)に誕生してから90年になります。この90周年は100周年に向けた新たなスタートとして位置づけ「輝く未来 開こうとしま新時代」をキャッチフレーズにしました。
私が区長に就任した第1期目は平成11年(1999)、当時は財政破綻寸前の危機的状況であり、非常に苦しい区政運営を強いられました。区制70周年にあたる平成14年(2002)は、記念事業を行うような財政的な裏付けが全くできなかった。それでお金を使わなくても区民の皆さんと一緒に地域活動で豊島区を盛り上げようと「文化のまちづくり」を掲げました。当時池袋西口公園に常設ステージができたのは、区民有志の方々からの寄附によるものです。その後、区民サービスを見直し、出張所をなくし、職員給与の削減や退職不補充の減員まで行って苦節10年、ようやく財政健全化の目途が立ちはじめ、新庁舎建設計画を決定し進められることができたのが80周年の平成24年(2012)でした。この年11月に80周年記念事業として、世界保健機関(WHO)が推奨する安全・安心まちづくりの国際認証制度「セーフコミュニティ」を東京で初めて取得しました。
いよいよこれから前進の時代と思ったその矢先、平成26年(2014)にあの「消滅可能性都市」の指摘です。少子高齢化と人口減少への警鐘で「30年後には豊島区がなくなりますよ」というセンセーショナルなニュースになりました。またも大ピンチかと思われましたが、豊島区は〝区民との協働〟で文化のまちづくりを加速させ「国際アート・カルチャー都市」構想によって、これを躍進のチャンスに変えたのです。この80周年から90周年の期間は、東アジア文化都市2019を開催し、23もの大規模なまちづくりプロジェクトが完成し、豊島区の百年に一度の変化が大きく感じられる10年になりました。
90周年は次の100周年に向けて、夢が実現するスタートになる節目の年と考えています。

合場社長:豊島区は〝よくぞここまで「文化」を軸に都市の将来像を作り上げてきたな〟という都市経営に対する高い評価が定着してきていると感じています。
「文化」というテーマはいいですね。調子のいい時も悪い時も〝人が動く〟ことによって次に繋がり、継続して取り組むことができます。
サンシャインシティは今年の10月で開業して44年になります。ご承知のように、1950年代高度経済成長期に首都圏への人口、産業の集中が起き、その都市問題解決を目指して策定された新宿・渋谷と並ぶ「池袋副都心再開発構想」がもとになっています。日本初の複合都市施設、日本一高い超高層ビルとして全国に名前が伝わり、一見、その歩みは順調そうに見えますが、70年代の建設工事開始直後にオイルショック、開業期は経済不況の真っ只中で、経営の実情は大変なものでした。そのなかでターミナル駅から800m離れている新施設にお客様の足を向かわせる工夫と努力はいかばかりであったか、と想像します。開業以降長い間、借金を返すことに費やされたのです。
それでもその後、「サンシャイン60通り」にお客様が多く歩いていらっしゃれるようになったのは、地域の皆さんが「サンシャイン」という言葉を良く使っていただき、サンシャインシティの存在について信頼と価値を感じてくださったからだと思います。
私たちグループのスローガンは『なんか面白いこと、その創造力を街の力に』です。〝ピンチをチャンスに変える〟も、豊島区と同じく地元の〝皆さんとの協働〟にあると考えています。  

高野:豊島区の80周年から90周年にかけての10年間で、企業が豊島区の成長と価値に期待する兆しが見えてきたと感じています。今年の新春賀詞交換では区立芸術文化劇場(東京建物 Brillia HALL)2階を全部企業の方の参加席にしましたら満席となりました。以前とは違う注目度の勢いを感じました。
この間、「公民連携」の新しい形を積極的に働きかけたこともあると思いますが、2015年に池袋が特定都市再生緊急整備地域の指定を受けたことも大きく影響していると思います。これまでは何回も東京都に申請しても「池袋はまだ熟度が足りない」という表現で何年もはね返されてきましたが、新庁舎移転以来の池袋東口の再開発の展開に加え、いよいよ池袋西口駅前再開発も始まります。池袋の都市再生の仕上げがスタートするのです。この池袋西口駅前再開発は事業協力者として三菱地所グループが地元の権利者と一緒に全体像を描きつつありますね。私は、東口の新庁舎以降の展開のように、西口も駅前の変化だけではなく、再開発によって西口エリア全体が良くなる、まちが動き出すきっかけにしたいと思っています。

合場:私は前職の三菱地所時代には、主要地方都市のニュータウン開発、横浜ランドマークタワーとみなとみらい21地区の開発、大手町・丸の内・有楽町エリアの「大丸有」再構築などに携わってきました。
池袋は副都心のなかで新宿、渋谷に比べて遅れをとって…などとよく言われますが、これは今となっては逆にものすごいアドバンテージだと思います。
かつてのまちづくりは、人口数やインフラの配置、社会形成要素から導き出す都市工学の発想によるものでした。今は都市経営の発想が大切になっています。必要なものがある「正しい街」もイイけど、良い劇場や素敵な公園がある「良い街」の方がイイね、さらにそれよりもっとみんなが「好きな街」になるのがイイね、この「好きな街」の高みを目指そうよ、という考え方です。
大丸有地区は民間ディベロッパーが中心となり地権者である企業と協議を重ねてまとめた将来像を公と共有し、実現のためのルールや手法を公民連携で定めるPPP(パブリックプライベートパートナーシップ)のモデルと言われています。一方、池袋はそのような民間デベロッパーが推進役になるのではなく、豊島区自体が推進役となって、行政と区民と民間企業が一緒に考え、提案し、動いていく、これまでにない公民連携の新しい成功モデルができるのではないかと期待しています。

高野:〝池袋らしいまちづくり〟にこだわりたいと思っています。先日、この池袋都市再生の将来像について「ウォーカブルなまちづくり」と題して発表しました。本区の都市政策顧問を務めていただいている建築家の隈研吾さんが提唱する「ダンベル型のまちづくり」が池袋の東西に大きく広がり、東のグリーン大通りと西のアゼリア通りが地下通路で繋がり、東西の駅前広場を結びます。明治通りの通過車両を迂回させて作るクルドサック化による交通広場や西口駅前再開発と連携した「駅まち結節空間(サンクンガーデン)」の整備によって、地上に人を導いて歩いて回遊できるまちを形成するという、これまでの「えきぶくろ」のイメージを変える期待のプランです。 豊島区がこれまで進めてきた都市計画、基盤整備方針や交通戦略の総まとめになるものです。これによって『居心地が良く歩きたくなるまちなか』を実現します。合場社長の仰った「好きな街」へのアプローチに近づいていませんか。

合場:そうですね。「歩きたくなるまち」はまさに自分にとって「好きな街」になりますね。これから生き続けるまちは、多くの人が参加し、自分がつくったと思えるまちだと思います。区長のお話を聞いて、それこそが「池袋らしさ」なのかもしれないと思えるようになりました。 近年は利潤追求のみを目的とするのではなく、社会課題の解決をビジネスに、という企業も増えてきています。公と民は、手法は違っても目指すものは同じ、それがSDGs(持続可能な社会の実現)ですね。サンシャインシティは池袋のまちとともに成長する企業、池袋の成長になくてはならない企業にこれからもなっていきたいと思います。

高野:御社にはこれまでもそうですが、さらに2020年から「まちづくり推進部」を設けていただき、さまざまな交流のなかで豊島区の公民連携の推進役を担っていただいています。
つい最近、私は幹部職員全員に新年区長講話を行ったんです。伝えたことは三つです。 「①スピード感を持って仕事にあたろう。②これはダメ、あれはダメではなく、どうすればできるかを考えよう。③見逃しの三振はするな、思い切って振れ、時には長嶋茂雄選手のようにボール球をホームランにする気持ちでやろう。」
なんだか民間企業みたいでしょう。区職員は民間の方々と気持ちを合わせて、かみあう姿勢が大切です。豊島区100周年に向けて、区民と企業と行政が一体となるプラットフォームのような体制を作って取り組みたいと考えています。

合場:歩きたくなるまち「ウォーカブルなまちづくり」のこれからが楽しみです。私たちも一緒になってチャレンジします。池袋だけでなく、豊島区中のまちが「歩きたくなるまち」を目指すのもいいですね。豊島区が区制90周年を記念して〝ウォーカブル都市宣言〟をする、なんていうのはいかがですか。

高野:いいですね。一緒にまちを歩きましょう!

(令和4年2月10日豊島区役所区長応接室にて)

おすすめ書籍

「財政支出ゼロで220億円の新庁舎を建てる」
溝口禎三 著

財政支出ゼロで220億円の新庁舎を建てる

豊島区をこよなく愛する著者が前著『文化によるまちづくりで財政赤字が消えた』に引き続き書き下ろした第二弾!「豊島区に住んでいて良かった」としみじみ思える本です。

定期購読のお申込み

『豊島の選択』購読をご希望の方は、詳細をご覧ください。お申込みは、お問合せフォームからお受けしています。