最新号53号が発刊されました。

53号

特集
街全体を世界の文化芸術表現活動の舞台にする劇場都市へ

雑司ヶ谷で掘り出し物に出会う「みちくさ市&手創り市」
(みんたん)

先進まちづくり事例
「としま会議」東池袋・向原

今月のキラリ人
株式会社 ルミネ 取締役 池袋店長
草薙恵美子さん

大正大学 秋の公開講座 森里海連環学
『21世紀の参勤交代と里山資本主義』

池袋モンパルナスのココロ3

特集
「国際アート・カルチャー都市」街全体を世界の
文化芸術表現活動の舞台にする劇場都市へ

豊島区は十月六日、国家戦略特区に向けたビジョンとして「国際アート・カルチャー都市」を目指すことを発表した。これは豊島区が持続的に発展していくための原動力として、日本全体の推進力となる世界に向けての魅力を発信し、これまで推進してきた文化創造都市づくりをさらにスケールアップさせたまちづくりを推進していく宣言になる。
具体的には、広場や公園、道路などを開放し、街全体を芸術、演劇や音楽、ダンス、コスプレなどの舞台にする「劇場都市づくり」を目指すもの。
区は同時に、芸術文化の一線で活躍する企業のトップや芸術界などから十一人を実現のための具体策を考えるプロデューサーに委嘱。年内に各人から提案を受け、来年三月末をめどに具体的な構想をまとめる。

クールジャパンのショーケースに
高野之夫区長は「世界中の若者が新たな表現文化の創造に挑戦できる街になれば」と期待を込めて話す。
二〇二〇年の東京五輪を見据え、サブカルチャーの聖地・池袋の現在の人気をもとにしたこの構想は、歴史的にも駒込染井に植木職人の技術が競合した時期、雑司が谷に文化サロンが集積した時期、巣鴨や池袋では大正自由教育の発信が行われた時期、そして椎名町では池袋モンパルナスやトキワ荘の若き作家が創造に燃えた時期を経てきた豊島区にとって、まさに都市全体で自由な表現の舞台となることは地霊ともいえる潜在的な魅力を発揮するのにピッタリな構想だ。
将来像のイメージコピーは「クールジャパンのショーケース」だと発表した。

エリアマネジメントへの取り組みがいっそう重要に
この構想を実現するための国家戦略特区による規制緩和のメニューとしては「エリアマネジメントの民間開放」、例えば道路や公園など公共財産の占用基準の緩和が挙げられる。区ではすでに10月下旬より池袋東口グリーン大通りの歩道においてオープンカフェ社会実験に着手し、来年の新庁舎開設以降も継続実施できるかの検証を行う予定だ。また10月下旬にはアニメ関連企業と連携し、ハロウィーンに合わせたコスプレイベントも実現させている。
こうした展開を発展させるには、地元地域やまちづくり団体、沿道の事業者との連携協力に基づくエリアマネジメントの仕組みづくりが不可欠となる。エリアマネジメントの考え方や手法について、地域への浸透が必要だ。

電線地中化も関連して取り組める
また、この「国際アート・カルチャー都市」の実現には、環境整備の過程で、安全安心の視点と有効空間の確保という両面から電線の地中化も推進できる。すでに区も国会での電線地中化推進の動きとの連携を視野に入れているようだ。電柱のないまちづくりに要望のある地域は積極的な取り組みが活かされる時期は近いかもしれない。区議会本会議ではこの構想に絡めて高野区長も電柱のないまちづくりへの推進の検討を述べている。
また、このほか外国人興行ビザなどの緩和なども規制緩和の対象に挙げられそうだ。

国際アート・カルチャー都市の「政策専門委員」…プロデューサーのメンバーとは…
本誌前号でトップマネジメントの強化策として提案した「政策専門委員」に近いのが、今回区が委嘱したプロデューサーたちだ。
その方々のプロフィールを紹介すると、(肩書は次頁参照)

前田三郎氏…サンシャイン劇場支配人、(株)明治座統括部長を経て、(株)キョードー東京のプロデューサーとして演劇製作を手がけ、公共の劇場と提携しての市民演劇的活動にも手を広げている。
公益財団法人としま未来文化財団評議員

相澤祟裕氏…よしもとグループで広告関連事業の開発、スマートフォン向け動画配信サービス立ち上げに従事。現在はグループ全体におけるデジタル関連の事業開発や経営企画を担当する。

猪子寿之氏…情報社会のさまざまなものづくりのスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。サイエンス・テクノロジー・アート・デザインの境界線を曖昧にしながら、WEBからインスタレーション、ビデオアート、ロボットなど、メディアを超えて活動中。

鈴木美潮氏…大の特撮ファンで「日本特撮党党首」を名乗る。日本テレビ「イブニングプレスdonna」や「PON!」パネリストなどに出演。「よみうり大手町ホール」の企画プロデューサーとしても活動している。

髙井喜和氏…2001年、03、06、11年ボローニャ国際絵本原画展入選。明治「マーブルチョコレート」キャラクターの「マーブルわんちゃん」ほか多くのキャラクターデザインを手がけるとともに、広告・TV・出版等で活躍している。著書にエッセイ集『キャラクターデザインの仕事』(大日本図書)

髙橋豊氏…昭和58年に一号店であるアニメイト池袋を開業。以降、全国に出店を重ね、現在111店舗を展開している。台湾、香港、上海、サンフランシスコにも事業所あり。神保町の老舗書店「書泉」の代表取締役社長も兼任。

橘正裕氏…現職の他、日本アミューズメント産業協会・常任理事、一般社団法人日本アミューズメントマシン工業協会・副会長、社団法人全日本アミューズメント施設営業者協会連合会・理事、社団法人日本ショッピングセンター協会・理事、イオン同友店会・理事

中村園氏…造形作家。キャラクター人形やジオラマ(立体模型)の第一人者として幅広い創作活動を展開。現在も、テレビ、舞台、イベント、アート等、様々な業界で話題作を作り続けている。

宮田慶子氏…劇団青年座(文芸部)に入団。翻訳劇、近代古典、ストレートプレイ、ミュージカル、商業演劇、小劇場と多方面にわたる作品を手がける一方、演劇教育や日本各地での演劇振興・交流に積極的に取り組んでいる。
社団法人日本劇団協議会常務理事、日本演出者協会副理事長。

湯川れい子氏…ジャズ評論家としてデビュー。『全米TOP40』を始めとするラジオのDJなど独自の視点によるポップスの評論・解説を手がけ、世に国内外の音楽シーンを紹介し続けている。
また、作詞家としても各レコード会社のプラチナ・ディスク、ゴールド・ディスクを数多く受賞。またディズニー映画の日本語詞も手がけている。

横澤大輔氏…ニコニコ動画の公式生放送番組を立ち上げ、ニコニコ超会議では統括プロデューサーとして10万人規模のイベントを手がけている。

プロデューサーの任期は一年。チーフプロデューサーに就任した前田三郎氏は「ロンドンオリンピックは文化面での取り組みが成功を招いた。二〇二〇年五輪の文化面のサポートは、豊島区が一番に手を挙げて進めていく」と力強い。
どんなアイデアが出てくるのか楽しみに期待しよう! 。

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