最新号55号を発刊しました。

55号特集
F1と町会が連携するためには
創発としま対談 町会長 働く女性

F1会議 各チームの提案内容レポート(みんたん)

先進まちづくり事例
日本ユネスコ・プロジェクト未来遺産2014に
「雑司が谷」が登録決定

区民ひろばとまちづくりグループをつなげよう!
とっぴぃが取材した「まちづくり活動」のマップ

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新年号2015新コーナー創発としま対談
町会長 働く女性
F1と町会が連携するためには

100人女子会にF1会議、あの消滅可能性都市の話題以降、女性や若者に支持されるまちづくりを改めて模索し始めた昨年の豊島区。
しかし、ふたを開けてみれば、積極的なまちの活用法やビジネスモデルの提案が相次ぐなど、この街を良くしようという意欲を持っている女性や若者が決して少なくないことを再認識することにもなった。
一方、地域住民を中心としたこれまでの文化によるまちづくりが定着しつつある区内の各地域では、地元町会や商店街による運動が形を見せ始めている。
新たなまちづくり運動に両者の接点はあるのか。

四元:100人女子会やF1会議に参加したのは、勤務先が東京都と豊島区の両方からワークライフバランスの認定企業となっていることもあって、その視点からまちづくりを考えてみたいと思ったからです。今回、住んでいる街、勤めている街に対して現実的に変えたいと思う女性が多くいることを感じました
足立:椎名町駅に近い南長崎で町会長を受けて10年。地元では若い人たちがトキワ荘のマンガ文化をテーマにしたまちづくり運動に取り組んでいて、これを応援しています。
四元:F1会議で私たちのチームは長崎・南長崎地区を題材にしたんです。ファミリー層が多い地域ですが、世帯流出率も上池袋に次いで二番目に高いという特徴があるようですね。
足立:どんな理由があると思いますか?
四元:家賃が高いとか?
足立:その前に間取りのことが出てきます。2DKまでならありますが、子どもが増えたり成長して3DKが必要になると、転居を考えざるをえない。そこで住宅の価格や家賃の問題になるのでしょう。
四元:私たちの提案は、空き家、空き店舗を活用した低家賃住宅「さくらハウス」と女性のワーキングサポート「さくらぼ」、育児スペースの「さくらキッズ・サロン」、それと理想の公園への改修でした。女性が住んで育てて働くことができればいいね、といってもそのひとくくりではありません。子どもを育てることに専念したい時期もあれば、社会で学び、働きたい時期もある。働き方の希望にもいろいろあります。そうしたさまざまな相談へのサポートが求められていると思います。
足立:実際、地域でも就学前のお子さんや思春期を迎えたお子さんを持つ家族にサポートが必要だと感じます。
 特に子どもの思春期は人間の成長の過程で大事な時期です。先日、区民ひろば富士見台でも「思春期・反抗期の子育て」をテーマにした専門家による講演会を開催しましたら、多くの参加と反響があり、そのことを実感しました。
四元:私の会社は、ITのシステム開発とコンサルティングを行う業務なので、社員へのキャリアカウンセリングと心のサポートを大切にしています。
 悩みを抱えると孤独になりがちですが、専門的な知識による相談を受けることでモチベーションは変わります。
足立:地域課題も最近は社会状況の変化が大きいので、専門家の知識が必要な時代になっています。ただし、そうした解決策を実現していくにしても、地域の方々の理解と参加がなければできません。とにかく先に走ればついてくるというビジネスの論理とは違うまちづくりの難しさはそこにあります。
四元:そう思います。確かにリーディングになるような解決策やプロジェクトを生み出していくことは重要なのですが、それによって地域に住む人たちがどう幸せになるかがまちづくりですよね
足立:基本はあらゆる人たちのための生活の場ですので、たとえ地域発展のためといえども無理やり住民をプロジェクトに乗せたり、住民を置き去りにすることはできないのです。
 私は、豊島区のNPOグループの中間支援団体でも相談を受けていますが、たとえ自分たちは社会貢献活動として展開しているつもりでも一部の趣味と捉えられ、社会的には理解が広がっていないという実情に悩みを抱えるNPOも出てきます。しかし、それは他の団体や地域とのつながりができてきたからこそ、そう思えることでもあるので、逆に良い転機となっています。
四元:新しい活動が地域で理解を得て展開されるにはどうしたらいいのでしょう。
足立:お互いにつながりを作ることから始めることだと思います。一つの方法として、その地域がすでに取り組んでいて進行中のプロジェクトと関係づけるというのはどうでしょうか。新しく別のテーマを設定するのではなく、今、地域が実現させようとしていることと連携して一緒に大きな夢を叶えましょうという話は、ネットワークができている地域の諸団体や行政とも組みやすいし、地元の理解や参加も得やすいはずです。
 一方、地域は専門知識を持った人や一緒に動ける人を求めているのですから、地域の方から呼びかけて連携を模索していいのです。
 南長崎ならトキワ荘プロジェクトと連携できませんか。
四元:トキワ荘プロジェクトとの関係づけは面白そうですね。具体的に考えられて発想が膨らみそうです。
 今回、提案を作成する中で、どこにどれだけ使える地域の財があるのか、地元の方の協力を得たいと思っていました。
 これをやるんだったらどうしたらいいんだろうと相談し合う関係ができれば素晴らしいですね。
足立:自分の住む地域について良いアイデアや知恵のある方、技術を持つ方がたくさんいるはずです。私たちでも見つけきれませんが、新しい切り口でいろいろな人財に登場していただくことは私の願いでもあります。
四元:実は、私の会社は池袋に社員教育のための研修室があります。空いている土日の時間を使って子どもの英会話教室をやっていたりもします。
 企業と地域の連携でできることもたくさんありそうです。 
 足立さんとお話して、今まで見えなかった地域の方の思いを感じることができました。
足立:これからも、いろいろな可能性が広がる交流を進めていきましょう。

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