最新号61号が発刊されました

61号特集
池袋LRT計画
動くのは今!「池袋の路面電車とまちづくりの会」
第2ステージへ

さよならリブロ池袋本店
byみんたん

2020年を池袋LRT元年に 
㈱ライトレール 阿部 等

先進まちづくり事例 
おもてなしと文化を伝えるバンケットホールは地域の宝 
リビエラ東京 西池袋

今月のキラリ人
ASONA行政書士法律事務所 
代表 赤池 純圭 さん

日本版CCRCって何のこと?

などなど盛りだくさん
特集は以下のリンクから読めます。

特集 池袋LRT計画を実現するために
池袋副都心交通戦略 H28年に中間とりまとめ

池袋LRT計画
動くのは今!「池袋の路面電車とまちづくりの会」
第2ステージへ

今年、豊島区新庁舎が開庁し、国家戦略の特定都市再生緊急整備地域の指定を受ける予定の池袋。今まさに豊島区はこれまで描いてきた池袋副都心整備プランを実現する時期に向っている。
「池袋のチャレンジ」と謳ったこのプランの中で、特に画期的で新規性を持った取り組みが、池袋LRT(路面電車)導入を含む「池袋副都心交通戦略」だ。
池袋東口グリーン大通りへのLRT導入検討調査を発表したのは平成15年。それから12年の間、当初から積極的に取り組みを表明した高野之夫区長と、区民有志による「池袋の路面電車とまちづくりの会」(以下、まちづくりの会)が区に協力しながら、この実現に向けて活動を進めてきた。
池袋LRTが本当に実現するためには何が必要か、「まちづくりの会」のメンバーとして考えてみた。

現在のルート案は回遊線
東口駅前は広場にする計画

池袋副都心交通戦略では、東口駅前、明治通りを通過する自動車を迂回させ、交流の場とする広場を生み出す計画だ。これがトランジットモールと呼ばれる公共交通の進入のみを許可した歩行者道路となる。この公共交通にLRT(新型路面電車、欧米ではトラムとも呼ぶ。Light rail transit=軽量軌道の略)を導入し、グリーン大通りから「あうるすぽっと」、サンシャインシティと造幣局の間を通り、サンシャイン通りから駅前を周回する2.1㎞、このルートはほとんどが区道上にある。
この駅前整備を可能にするのは、明治通りの迂回路として整備中の「環5の1地下道路」の完成による。H31年度を完成予定として、迂回させる区間は、明治通りの池袋六ツ又交差点~都電雑司ケ谷駅~千登世橋の区間で長さは2㎞弱。出入口は千登世橋の南側と東池袋交差点の南側に予定している。

将来は都電と接着・
乗り入れしたいが、
まず実現を優先

このLRTルート案では物足りないという声もある。循環ルートは短すぎ、街なかを回遊するだけでなく、都電とつなぎ、周辺エリアの早稲田や大塚、巣鴨と池袋駅をつなぐ公共交通機能を高めるべきではないかという意見だ。
それはもっともなことなのだが、都電は東京都の方針が決まらない限り実際は進まない。過去の鉄道の歴史に倣い、まずはできるところから始め、その効果を積み重ねて延伸していくことに期待したい。また、この回遊線の運営は黒字の見込みが早いと「まちづくりの会」では試算しており、初期路線の成功によって都電の乗り入れはもちろん、池袋西口への延伸も可能と考えているところだ。
都心型LRTの導入は、
都市の魅力を増し、
新たなモデルとなる。

小範囲で高密な池袋ではLRT路面電車の必要性に疑問を持つ方もいるかもしれないが、水平エレベーターの機能を持つLRTは、行ったり来たり自由に回遊できる街をつくる。来街者の滞在時間を長くすることに効果があり、また、そのアミューズメント性とシンボル性は街並みを美しくし、居心地を良くする。さらに加えると、高齢化かつ人口減少社会に向かう今後の日本の都市に必要な機能になると感じている。地上で乗り降りできる小移動の需要はますます増える社会になるだろう。
メガシティ池袋の都心型LRTは、世界のモデルとなり、国際都市としての魅力を増すと私は確信している。

池袋LRT計画は説明努力が必要、「まちづくりの会」の積極的展開が求められている。

LRTによるまちづくりのお手本とされているフランス・ストラスブールでも、導入を打ち出した当初は激しく賛否が分かれ、合意形成に至るまでに市民との意見交流会は数十回を重ねたそうだ。直接的な影響、無関心、政治的な背景など、さまざまな修羅場を乗り越えた、まちづくりの合意形成のプロセスこそが、行政・住民ともどもに、その後の貴重なローカルデモクラシーの発展につながったという。行政だけに任せるのではなく、区民どうしが、池袋LRT計画についてもっと議論する場が必要だとすれば、LRTの魅力を知って推進している私たち「まちづくりの会」の努力こそが必要なのだろう。
 
池袋副都心交通戦略委員会ではLRT導入に関する検討は進んでいるか。

区では、H22に開かれた池袋副都心交通戦略の中間報告で、LRTの導入により自動車交通処理に問題を生じないかを検証しながら、その実現への道筋を探るとしている、先ごろ行われた委員会では、今年行う路上荷さばきの実証実験について内容を決めていた。全体のスケジュールではH28年に交通戦略の東口の評価と見直しについて中間のとりまとめを行うとある。LRTの実現に向けた検証報告がなされることを期待する。

宇都宮の成功事例に学ぶ 池袋の取り組みの強化

栃木県宇都宮市は2013年1月、構想から20年ほどかかり停滞していたLRT計画をついに実現することを発表した。
今年3月、まちづくりの会の総会セミナーで、この宇都宮市LRT計画の推進役となって活躍された宇都宮大学の森本章倫教授(今年4月より早稲田大学理工学術院教授)のお話を伺うことができた。 
森本教授は、宇都宮市のモデルをネットワーク型コンパクトシティと掲げ、現状分析では空き家の実態調査や交通パーソントリップ調査などを詳細に行い、また、将来の街の姿や、LRTを導入した際の街の様子をCG映像で見える化し、「未来の宇都宮の街なみ」の動画を多くの市民に見てもらってアンケートを取るといった積極的な説明を果たした結果、政界・財界・事業者・市民団体など多くの関係者の努力を得て、実現の道筋にこぎつけたことを教えてくれた。

動くのは今!「池袋の路面電車とまちづくりの会」の第2ステージにご注目ください!

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