最新号78号が発刊されました

78号特集
豊島区 2016年
政治の変化をどうとらえるか

オール豊島のボトムアップ強化
区民の努力が結実するような施策を

平成28年第四回区議会定例会
招集あいさつ(要旨)

気品がある学生が集う 学習院目白キャンパス
byみんたん

今月のキラリ人
きめの細かい司会業を目指したい
司会業 古橋祥子 さん

追悼 伊藤榮洪先生

などなど盛りだくさん
特集は以下から読めます。

特集:豊島区 2016年

激しい政治の変化をどうとらえるか
オール豊島のボトムアップ強化
区民の努力が結実するような施策を

 2014年が「消滅可能性都市」2015年は「国際アート・カルチャー」、それに続く2016年の豊島区のまちを動かしたキーワードといえば、やはり「小池百合子都知事誕生」だろうか。
 いまだに余波もある豊島区議会の動向はさておき、3回もの選挙があった今年、あらためて豊島区のまちづくりに必要な視点を考えてみたい。

小池「東京大改革」に期待したこと

1992年の参議院選挙で日本新党比例区選出をスタートに、その後新進党解党、自由党分裂を経て、自民党に入党、一度も議席を失うことなく、環境大臣、防衛大臣を務め、自民党総務会長も経験した小池百合子氏が国会議員を辞めて都知事選挙へ立候補する意向を示したのは今年6月29日、それから1か月後には自民党推薦候補を大差で破って都知事に就任した。
立候補を表明した当初は自民党に推薦依頼していた小池氏だが、7月10日の参議院選を自民党で戦った直後に推薦依頼を取り下げ、そこからは「都民ファースト」「東京大改革」の幟を立て、選挙戦を通じて「小池旋風」を巻き起こした。
都民が「小池旋風」に期待を寄せたのは、マスコミが注目した「除名」騒ぎや『ドン』疑惑などに象徴された政党の一部の重鎮が力をふるう政治への反発だったろう。それは急に蜂起されたわけではなく、身近な社会で感じるストレスだったのかもしれない。
ともかく、小池「東京大改革」は、現在もさまざまな話題を振りまきながら精力的に邁進中だ。「黒い頭のネズミ退治」などキーワードも巧みに人々の心を捉えている。小池氏はいつから大改革派になったのか。もちろん都知事としての抱負や責任感はもとからに違いないが、あの大きな選挙を通じて、街なかで実感された都民の期待の大きさが後押ししているのではないだろうか。つい半年前まではその政党のもとで同志なるメンバーを力強く推進していたのだから。

オール豊島のボトムアップ強化が大切

豊島区では、高野区長が23区の区長のうちでただ一人、地元の豊島区民の声を無視できないと小池氏支援に立ち上がり、このムーブメントの盛り上がりを支えた。また、自民党区議14人のうち5人が支援を表明し、自民党が推薦した増田寛也候補を支援する9人と袂を分かっての選挙戦となった。選挙後には、党本部の指示を振り切って小池支援を表明した若狭勝衆議院議員が小池氏の後継として衆議院補欠選挙を戦い、当選を果たしたが、今なお都知事選で分裂した影響が区議会自民党には残る形となり、誰がどちらでどちらが誰かもわからない状況のようだ。
しかし、その影響については豊島区のまちづくりにおいて問題になるものではないだろう。むしろ東京都知事と豊島区民の関係がこれまでにない近い距離になったことをチャンスと考えていくときであろう。なぜならこの都知事選挙に見るように、市民のムーブメントが施策を後押しするのであって、議員の動向がまちづくりに影響するようなことは小池旋風に期待した都民の思いと本末転倒だからである。
豊島区のまちづくりが一層進むチャンスを迎えているからこそ、都知事選へのあの期待同様に、今、市民活動の充実、つまりオール豊島の区民の力によって実行の道を開けるとき、ボトムアップの強化がさらに大切になるという意識になるべきではないか。

既存支配構造への反発
トランプ・ショックが
伝えるもの

今年は、世界でも大きな変革の選挙が続いた年だ。イギリスのEU離脱を決めた国民投票もそうだが、やはり一番のニュースは11月のアメリカ大統領選挙でのトランプ・ショックだろう。
共和党候補でありながら、税制と銃法以外のどの政策でも、ことごとく今までの主流派共和党の政策を逸脱させた主張がそれでも支持を得る様子は、何を以て政党支持なのかもわからない。しかし、その底辺にあるのは、やはり国民の実感、やりきれない現実を課題と考える既存支配構造への反発というリアリティなのだ。
ボトムアップの「草の根民主主義」を標榜する第一線の大国でも、今や本音は「もはや政治的に正しくある余裕はない」。そう言い切る大統領候補は、ポピュリズムなどと形容するものではなく、リアリズムによる政治なのだ。一部の政治エリートの主導に頼り、市民全体のボトムアップの強化を怠ったこのアメリカの結果は、対岸の火事ではない。

国際アート・カルチャーの推進
区民と専門家のコラボで

そこで、豊島区のボトムアップとは何かである。
私は、すでに行われている活発な豊島区地域の文化活動や区民活動に向けて、該当する分野の専門家を交えてそれぞれの活動の発展性を改めて見つける機会について、行政がこうしたサービスを提供する施策が必要と考える。
一つの区民活動が、継続することに留まらず、次の段階へ発展、あるいは広がろうとする際には、多くの時間やマンパワーが必要になる。多くの場合、主宰するメンバーは継続する力を維持するのに労力を使い、自らの活動を客観的に捉えて潜在する発展要素を探すなどという仕事には気づかない。
しかし、その活動自体が行われていることのなかにある社会的意義は、主宰するメンバーが現在想像する以上に存在していることが多い。それを発掘するのは、第三者的に気づきを与えてくれるその道の専門家の役割だ。そのコラボレーションは、時にお互いの刺激になり、区民の力を強くする。
「そんなスゴイことをやっているのなら、こんなコトもできるじゃない」
「今、やっていることは、地域を超えたテーマにつながるので、広げて支援を得た方がいい」というようなことが起きるのを期待している。
高野区政の「文化のまちづくり」が区民に定着し、いよいよ来るべき国際アート・カルチャー都市の実現に向かう今、オール豊島のこれまでの区民の努力が結実するような施策を展開してほしい。

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