最新号83号が発刊されました。

83号特集
2019年「東アジア文化都市」
国内開催都市に豊島区が立候補

2019東アジア文化都市・2020東京五輪・文化プログラム を支える文化創造都市として
一層の飛躍を!

2020年大規模シネコン誕生! byみんたん

今月のキラリ人 東京池袋「ななキッチン」 関根ゆきこさん

先進まちづくり事例 ほっと落ち着くまちのカフェ アートを通して 地域の交流が盛んに「cafeまめのき」 要町

雑司ヶ谷物語 第八回 「豊島の土」を美術品として海外へ送り出した 竹本隼太

公式パンフレットには載らない「第12回 新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館」とっておき情報

などなど盛りだくさん
特集は以下から読めます。

特集:2019年「東アジア文化都市」 国内開催都市に豊島区が立候補

2019東アジア文化都市
2020東京五輪・文化プログラム を支える文化創造都市として一層の飛躍を!

 豊島区は今月31日までに、国が行う国際文化交流及び国際貢献事業である「東アジア文化都市」の2019年国内開催都市の選定を受けるべく文化庁の募集に応募する。 
 国際アート・カルチャー都市を標榜する豊島区文化のまちづくりの集大成として位置づけるこの取り組みについて、その目的と内容、選定の可能性について、小澤弘一文化商工部長と副島和哉東アジア文化都市推進担当課長に伺う。(聞き手 本誌・小林俊史編集長)

日・中・韓3都市が連携し発信する文化交流
平和のための国家事業

――東アジア文化都市とはどんな事業なのですか。
(小澤部長)平成26年から始まった『東アジア文化都市』は、日中韓3か国の文化大臣会合で合意されたもので、毎年それぞれの国で文化芸術による発展を目指す一都市を選定し、現代の芸術文化や伝統文化、また多彩な生活文化に関する様々な文化芸術イベントを、その3都市が連携し交流しながら実施する国家プロジェクトです。
目的は東アジア域内の相互理解・連帯感の形成を促進するとともに、東アジアの多様な文化を世界へ発信する力の強化、そして当該都市がこの機会を活かし、継続的に発展することを目指しています。
事業内容は、
①1年のうちにコア期間を設けて集中的に文化芸術関連事業を展開すること
②日中韓3都市を中心とした交流事業
③オープニングイベント
④クロージングイベント
の4つを基本としていますが、これらの事業以外にも関連事業として、これまでの都市もいろいろな事業展開を実施しているケースが多いので、考えられる限り豊島区の魅力発信に資するものを考えていきたいと思っています。
この『東アジア文化都市』は、本区の国際アート・カルチャー都市懇話会会長の近藤誠一さんが、文化庁長官時代に創設されたものです。
今年2017年は、京都市・長沙市・大邱市が指定都市となって展開中ですが、そのオープニングで近藤誠一さんは次のように『東アジア文化都市』の意義を語られていますので、ご紹介したいと思います。
「平和を誓った戦後から、70年以上が過ぎた今日、なぜ紛争やテロが絶えないのでしょう。
国家には、何が何でも主権すなわち領土や経済利益を守らねばならないという建前があるからです。とくにグローバル競争が激しくなると、政治や経済は、結局は排除の理論から抜けられません。
平和を達成するカギは、文化と都市にあります。文化は違いを排除するのではなく、そこから学び、お互いに高め合うものだからです。そして都市は、文化を生むふるさとであり、そして主権に縛られないからです。
このことを十分に理解したのがヨーロッパの欧州文化首都という構想でした。欧州統合を進める過程で、毎年加盟国から一都市を選び、みなで協力してその文化活動を促進したのです。 
各国がこのように建設的な努力を続けたことが、EU形成の過程で発生したさまざまな困難を乗り越えることに役立ちました。
東アジア文化都市は、まさにこのような精神でつくられました。この制度が始まって4年経つ間に、日本と中国・韓国の政治関係が悪化しましたが、このプログラムだけは見事に継続されました。この構想こそ、今後もさまざまな摩擦が生じるであろう日中韓三国の関係を健全に発展させるカギとなるでしょう。」(東アジア文化都市2017京都HPより引用)
中韓さらにはアジア全域に国際貢献する都市として
継続的な発展を目指す

――豊島区が2019年というタイミングで選定都市になると、どんな展開が図れますか。
(小澤部長)まず前提として、現在進行中の国際アート・カルチャー都市を実現するうえで掲げた「文化戦略・国際戦略・空間戦略」の具体的取り組みが、いずれも2020年に開催する東京オリンピック・パラリンピックの前に世界に発信できることになります。同時に、この2019年には旧庁舎跡地のHareza(ハレザ)池袋の新ホール・新区民センターも竣工を迎えるので、杮落しの公演を含め、大々的にオープニングを飾ることもできます。「東アジア文化都市」での文化芸術イベントの実施実績を発信することで、翌年の東京オリンピック・パラリンピックでは、競技会場こそないものの、五輪の目的を支える文化プログラムを展開する主要な東京の都市として国際的に認知されることになります。
(副島担当課長)また、本区の住民人口における外国人割合は23区でも非常に高く、特に中国の方は都内で1位となっています。近年では東南アジア諸国の人口も急増しており、外国人の方にとって学習や雇用や暮らしの情報を得やすい環境があること、すなわち外国人の方々からも選ばれる都市であることは現在の本区の活力の一つです。
『東アジア文化都市』をきっかけに、区内在住・在学の多くの中韓の方が母国を懐かしみ、3か国の相互理解につながる象徴的な定期交流イベントに発展させること、さらにはその流れをアジア全域の相互理解に広げていくことを目標に、国際貢献する都市として継続的に発展することができると考えています。

文化創造都市として
条件は備わっている。

――これまでの過去の開催都市は政令指定都市が続いていますが、採択の見込みはいかがですか。また実際に行うことになる文化芸術事業はどのようになるでしょうか。

(小澤部長)まだ、応募資料の作成段階ですから、なんとも言えませんが、これまでに採択された都市は、すべて文化庁長官表彰(文化芸術創造都市部門)を受け、また創造都市ネットワーク日本(CCNJ)に加盟している都市が応募により選ばれています。豊島区も平成20年度に文化庁長官表彰を受けており、ほか条件も満たしている創造都市として、見込みはあると考えます。そして今回採択され、一層の飛躍ができることを望んでいます。
本区が現在想定している事業としては、これまでに積み重ねてきたフェスティバル・トーキョーや東京芸術祭などの舞台芸術分野、アニメ関連のフェスティバルやトキワ荘復元ミュージアムなどのマンガ・アニメ分野、お会式、大塚阿波踊り、ふくろ祭り、大田楽などといった生活文化・伝統芸能分野の3つを柱とし、さらに美術やその他の豊島区の魅力ある事業も関連交流事業として含める予定です。
本区の特徴を活かした他に類のない公民連携事業や、文化歴史を踏まえた国際交流事業を展開すべく東京都と連携してオリンピック・パラリンピックも見据えて考えていきます。

――ありがとうございました。

(追記)
宮崎滔天、秋田雨雀、池袋モンパルナス…
アジアにおける平和への希求、そして友情の地としての共同研究を!

「東アジア文化都市」は、平和を達成するためにある、と元文化庁長官近藤誠一さんは仰っています。日・中・韓3都市の交流と連携事業が国家的に認知され、継続されることを思うと、ぜひこの採択を豊島区に受けてほしいと私は願っています。
それは、明治維新以降、国際社会からアジアの独立や平和を願って民間レベルで支えあった日本人と中国人と朝鮮人の友情の地がこの豊島区にあったことをもっと広く知ってほしいからです。
明治の大陸浪人と言われた宮崎滔天は、中国近代革命の先人・孫文(孫中山)や朝鮮近代化を目指した金玉均らと西池袋の自宅で厚い友情を結びました。
世界共通の言語エスペラントの普及に努めた秋田雨雀は雑司が谷の自宅で交流したロシアの盲目の詩人エロシェンコを通じて多くの大陸人たちと平和について熱く語り合っています。
また、池袋モンパルナスと呼ばれたアトリエ村でも、第二次世界大戦前は中国、朝鮮、アジア諸国からの芸術家たちが日本人と一緒に切磋琢磨し、ライバルとの友情を、平和を願いつつ深めました。

「文化は違いを排除するのではなく、そこから学び、お互いに高め合うもの。そして都市は、文化を生むふるさと」
近藤さんのこの言葉に表されるような交流が豊島区でかつて行われていたことを、あらためて現代の共同研究によってアジアの平和に資することができれば、どんなによいかと願います。

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