最新号85号が発刊されました。

85号特集
池袋アトカル推進コンソーシアムが始動

コラボレーティブ・シティ
世界に新たな価値を生み出す街ができるか!

サンシャイン水族館リニューアル!
byみんたん

池袋疾走日記 
2017.7 by古市コータロー

今月のキラリ人
箏で日本ならではの〝和〟の伝統文化を世界へ発信したい
生田流箏曲演奏家 榎戸二幸 さん

雑司ヶ谷物語 第十回 
鬼子母神参詣土産としてのブランド
「川口屋の飴」

『大塚ものがたり』【前編】
川と鉄道からひもとく まちの成り立ちと発展 
城所信英さん

などなど盛りだくさん
特集は以下から読めます。

特集:池袋アトカル推進コンソーシアムが始動

コラボレーティブ・シティ
世界に新たな価値を生み出す街ができるか!

 豊島区は7月26日、今年度新たに設置した「池袋アトカル推進コンソーシアム協議会」(以下、アトカル・コンソーシアム)の第一回を開催した。
 これは、昨年策定した池袋ブランディング・シティ戦略を進めるために具体的な活動を打ち出し発信するための公民連携による検討組織となる。
 池袋が真に国際競争力強化を伴う国際アート・カルチャー都市となれるかは、ハード・ソフトの両面での変革が必要。そのカギを握る発案部隊になりそうだ。
この取り組みの背景と今後の課題について、高田秀和政策経営部企画課長と鈴木達広企画担当係長に伺う。
(聞き手 本誌・小林俊史編集長)

国際競争力強化を
実現する、ソフト面でのテーマを模索

――アトカル・コンソーシアムは、どのような動きになるのですか

(高田課長)池袋ブランディング・シティ戦略の目指すところは、池袋をアート・カルチャーの魅力で世界中から人を呼び寄せ、新文化・新産業を育み、国際競争力を強化することにあります。その基盤整備としてハード面では、特定都市再生緊急整備地域における劇場や公園等の整備、地区再開発、インフラ構築など人を呼ぶ場の整備が都市計画によって進められています。 
一方、ソフト面では、今後の公民連携による施策の展開によって、池袋が企業や来街者の関心を集めうるテーマを強く発信していく必要があります。
これまでに、いろいろな企業からヒアリングをしたところ、池袋はショッピング拠点とのイメージが強い反面、創業期に適したアクセス性を持ちながらも大規模オフィスは少なく業務機能の集積が進んでいないなどの見方をされていると感じました。これらは、ハレザ池袋をはじめとする今後のオフィス需要へも影響がありそうな現状認識だと思います。
「まち全体が舞台の誰もが主役になれる劇場都市」の将来像には国際的な新文化・新産業を育むオフィス都市を形成する環境づくりが欠かせないと感じています。
まずは、池袋への目的地化やPRの強化を図る①来街者誘客の強化、人材の集積を促進する成長環境の整備を図る②スタートアップ機能の強化、異分野融合や女性活躍の促進を図る③ビジネス環境の高度化、のシティ戦略の3つのカテゴリーを中心に、対外的に打ち出すテーマを模索していきたいと思っています。

人々の暮らしを変える
新たな価値を生み出す街
「コラボレーティブ・シティ」にチャレンジ

――参加メンバーからはどのような意見が出ていますか

(鈴木係長)まちの個性を出すためには、アートやイベントだけでは関わる企業が限定されるので、いろいろな企業が連携するために、テーマは間口を広げて考えてはどうかとの意見がありました。
アート・カルチャーを広くとらえて、クリエイティブなアーティストの技術と企業がタッグを組んで池袋発の新しいライフスタイルに合わせた新分野を開拓するインキュベーションのような、例えば「池袋サロン」のような場を創造するアイデアも出ています。
池袋ならではのコラボレーションによる発想で「感性系快適生活空間」や「女性活躍」「ペット生活」「アニメツーリズム」「都市住民の農体験」「ベンチャー育成」など具体的なテーマもいろいろ出されて、企業が「モノ売り」から「コト売り」に変わりつつある時代のなかで、新たな産業の掘り起こしへのチャンスに期待をされていることを感じました。
「池袋は人が集まり、情報が集まる場所だからこそ、その可能性は大きい、行政は積極的に、人と人をつなげる場の提供をしてほしい」という声が印象的でした。
そこで、今後の池袋の業務集積に向けたイメージとして、人々の暮らしを変える新たな価値を生み出す街「コラボレーティブ・シティ」をコンセプトにして、参加メンバーとともにテーマ別に検討を進めていくことにしています。

「コラボレーティブ・シティ」4つのテーマ別検討を開始

――テーマ別検討はどのようなものを想定していますか

(鈴木係長)参加者からのご意見などをもとに、当初案では4つのカテゴリーを想定して検討をしていきます。
①ライフスタイル・都市デザインを軸としたコラボレーションテーマ…これは、飯能等沿線地域と連携した都市型農体験による新たなライフスタイル提案と地方課題解決ビジネス検討のイメージです。
②アニメ・マンガコンテンツを軸としたコラボレーションテーマ…これはアニメ関連企業の連携のもとでコンテンツを軸としたツーリズム企画を具体化するイメージです
③サイエンスとの連携による新たな価値創造…これは理研共同研究先やベンチャー等が有する研究成果の実用化実証を百貨店等と連携して実施するイメージです
④企業プロモーションにおけるアーティスト活用可能性…これは鉄道会社、まちづくり会社のプロモーションにおけるアーティスト活用価値についてアート関連事業者と共同研究するイメージです。
これらを初めの検討として、業務機能の集積につながるような池袋ならではの「異分野連携」を象徴する取り組みとして発信していきたいと思っています。

外向きに「面白そうだな」と思ってもらう発信が大切

――今年度のスケジュールと、行政の役割についてお聞かせください

(高田課長)アトカル・コンソーシアムのメンバーにはオブザーバーとして、国土交通省、経済産業省、東京都にご参加いただいています。
今後の検討結果は、今年度中に策定する、特定都市再生緊急整備地域の法定整備計画のなかで国際競争力強化の目指すべき目標として反映させていくことになります。そのことで、国や都と連携のもと、国家戦略特区やアジアヘッドクォーター特区の規制緩和等を活用し、企業誘致や事業推進に対し税制優遇等の措置が可能になります。
成熟型社会のなかで成長しながら豊かさに訴えるライフスタイルの創出が先進的な世界では期待されているのは周知の事実です。
高野区長が常に言っているように世界に通用するような産業を生み出す都市を目指して「コラボレーティブ・シティ」を進化させていきたいと思います。
そのために行政の役割としては、まずは場の提供とマッチング、そして検討の途中経過でも、積極的にその動きを発信し、外向きに「面白そうだな」と思ってもらうことが、大切だと認識しています。

――コラボレーティブ・シティに池袋サロン、大いに期待しています。ありがとうございました。

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