最新号92号が発刊されました

92号特集
豊島区 平成30年度予算案を見る

30年度予算は
『国際アート・カルチャー都市飛躍の準備&住みたい街への充実予算』

「わたしらしく暮らせるまち」は、私たちがつくる
としまぐらし会議 byみんたん

池袋疾走日記 第8回
2018.2 by古市コータロー

今月のキラリ人
音楽を通して喜びを伝えたい 日本音楽療法学会
教育支援員 笹倉友紀子 さん

先進まちづくり事例 
東京池袋ロータアクトクラブ

平成30年度第一回豊島区議会
区長招集挨拶

などなど盛りだくさん
特集は以下から読めます。

特集:豊島区30年度予算案を見る

30年度予算は『国際アート・カルチャー都市飛躍の準備&住みたい街への充実予算』

 豊島区の平成30年度予算案が公表された。
 区はこの予算の特徴を、来る2019年20年に花咲かせるため『国際アート・カルチャー都市を推進し未来へ大きく飛躍するための準備と住みたい街への充実予算』と表現し、新規拡充事業を中心とした積極予算となっている、と説明した。
 30年度予算、特にこの新規・拡充の内容を中心に紹介する。

過去最大の予算規模、
課税人口は過去5年間で
1万6千人の増加、
総仕上げの投資的経費増

一般会計の当初予算規模は1167億4千9百万円、対前年度比79億4千8百万円6.8%の増となり、過去最大規模の予算となった。 
これは、再開発事業や学校改築に加え、これまで進めてきた新ホールや新区民センターの整備、池袋西口公園整備、電気バスの導入など将来の豊島区発展を見込む文化施策の総決算事業を計上したことによる。
2019年東アジア文化都市の開催、そして2020年東京オリンピック・パラリンピックを迎えて都市再整備を含む国際アート・カルチャー都市の仕上げに向けて本格的投資経費が始まったといえよう。
一方、課税人口は過去5年間で1万6千人も増加し、文化によるにぎわいを生むまちづくり、子どもと女性にやさしいまちづくりへの投資がこの効果につながっていることも表している。

特別区税収入は過去最大規模も、ふるさと納税による減収は8.1億円に拡大。

歳入の基本となる特別区民税は課税人口の増加と収納率の向上(90.59%から95.81%へ上昇)により対前年度比10億2千2百万円、対前年度比3.7%増の大幅な増が見込めるなか、特別区税も8億4千1百万円増の319億7千2百万円と前年度比2.7%で、過去最大だった平成4年の312億円を超え、過去最大規模となった。
しかしながら、豊島区民のふるさと納税による寄付金控除額の減少は前年度の6.5億円から8.1億円に拡大する見込みで、増加分がそっくりなくなってしまう状態にある。これに加え、法人住民税の一部国税化(19億円減)と地方消費税の交付金の見直し(「12億円減」など国の税制改革の影響を合わせ合計39億円の減少となるという。
豊島区のまちづくり効果が歳入に反映されることが望ましいが、結果的には歳入の増加幅が圧縮され、減少している現実がある。5年連続で財政調整基金の取り崩し等をせずに予算編成ができているとはいえ、区はこれ以上ふるさと納税や国の税制改革による税の移転の拡大は看過できない不合理なものと今回も強調している。

豊島新時代へ2018
国際アート・カルチャー
都市&共働き子育てしやすい街No1への積極予算

高野区長は予算発表の記者会見で次のように語っている。
「5期20年、前半の10年は膨大な借金との戦い、緊迫した財政状況が続き、投資事業はできませんでした。消滅可能性都市と言われたこともありましたが、今、ようやくまちづくりの効果が出てきて財政も安定してきました。国際アート・カルチャー都市あるいは共働き子育てしやすい街NO1との方針にゆるぎなく東京の推進力となるような持続発展都市として区が大きく飛躍するこの時期をチャンスと捉え、今まさに、子育て関連事業や投資事業に積極的に予算配分する時がきたと感じております」
 
新規事業は23事業

30年度の新規・拡充事業は全223事業、約62億1千万円。うち持続発展都市対策関連事業は115事業40億8千万円と全体の7割に及ぶ。
重点的な新規事業は、本誌18Pから掲載している区長の区議会招集挨拶で触れているものがあるので、ご参照願います。
そこに記載のあるものを除いた特徴ある新規事業を挙げる。
(事業名と予算額は別図のとおり)

●待機児童ゼロ維持とサポートの新展開
待機児童ゼロを維持するために、保育需要の伸びに応じて今後も年間10園のペースで認可保育園を作っていく必要がある。平成30年度は、認可保育所10園、600名の定員増加を図るとともに、ひとりひとりの保育ニーズにきめ細かく対応し、保育所選びや様々な保育サービスの利用を支援する保育コンシェルジュを増員、良質な保育環境確保のための指導を強化する。
●東アジア文化都市開催へ!
 国際舞台への足固め
豊島区は2019年「東アジア文化都市」の国内候補都市に決定。2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を目前に控え、世界が東京に注目し、機運が高まっているこの年に、東京発の文化を豊島区からプロモートし、翌年の「文化の祭典」へとつなげていく。
30年春に事業コンセプトや概要をまとめた基本計画の発表、ロゴの作成やプレイベントを行い、年明けにはオープニングを行う。
「東アジア文化都市」は日中韓3か国において、文化芸術による発展を目指す都市を毎年各国1都市選定し、現代の芸術文化から伝統文化、また多彩な生活文化に関連する様々な文化芸術イベントを展開する国家プロジェクト。豊島区の文化資源である「マンガ・アニメ」「舞台芸術」「祭事・芸能」を柱とした各種事業を展開し、3か国との文化交流を行う。

●巣鴨地蔵通り商店街を
 無電柱化へ
今後起こりうる災害に備え、防災機能を高めていく必要があるため、豊島区では27年度から「無電柱化の推進」に取り組んでいる。30年度は巣鴨地蔵通りの詳細設計と学習院椿の坂の本体工事を行う。今後も区内全域で無電柱化をすすめ、防災力の向上を図るとともに、区民と来街者が安全・安心に通行できる道路を目指す。

●旧第十中学校跡地をスポーツ施設に
閉校となった旧第十中学校を、サッカーやラグビー、テニス、少年野球など多目的に使用できる野外スポーツ施設として整備する。また、現在旧第十中学校校舎内に保管している文化財等を移転させる必要があるため、飯能市内の区有地に保管施設を整備する計画を具体化していく。

●空家活用促進の支援メニューを充実
30年4月施行の「豊島区空家活用条例」は、所有者のニーズに合った空家活用を支援する。
①相続問題などを解決するため専門知識をもった専門家を派遣する。
②空家の活用方法などを提案する事業者を紹介する。
③家族的な住まい方の認定を受けることでシェアハウスへ転用しやすくする。

●増える外国人住民に対応
窓口手続きや相談の際に対応できる外国語を増やすため、タブレット端末によるテレビ電話を活用した多言語通訳サービスを試行的に実施する。3階の総合窓口課、国民健康保険課、4階の子育て支援課に設置し、12か国語に対応できるようにする。

●ベトナム語対応相談員による
 納付案内事業
ベトナム人住民の方は近年区内で急増しており、言語コミュニケーション手段が確保されていない状況から、日本における国民健康保険制度の理解の促進、また納付の案内や勧奨について課題を抱えている。そのため、ベトナム語に対応できる相談員を配置し、電話による納付勧奨や窓口納付相談の通訳などの取り組みにより、制度への理解を促進し、保険料の納付案内、勧奨を進めていく。

区議会予算委員会は現在開催中の第1回定例会内で審議が行われる。
※とっぴいでは今年度予算執行にかかる課題を次号以降で掲載していきます。

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