「豊島の選択」第27号のピックアップ記事

油彩画家の龍敬子さん

キラリ!この人(2012年7月25日号)油彩画家 龍 敬子さん

豊島区で40年間活躍中!
仏絵と抽象画のコラボなど独自の世界を

龍敬子さんのギャラリーはとげぬき地蔵尊「高岩寺」の隣にある。お参りにきた方が、ウインドーに飾られている作品を見て、引き込まれるように訪れることが多いそうだ。そして帰りには「元気をいただきました」とにっこり笑って帰っていかれる。地元だけでなく、全国から訪れる方々の声が嬉しいと龍敬子さんは言う。

今回は、40年間を「豊島区」でエネルギッシュに活躍している画家・龍敬子さんをお訪ねした。
(取材 吉田いち子)

龍敬子さんの80年の人生を何と表現して良いのか?これほどエネルギーに満ちた女性がいるだろうか?と思うほど。女性に年齢を聞くのは野暮なことだが「今年1月で80になりましたよ」とにこやかに笑う龍さんは、昔と変わらぬ快活さである。なんでも今年は龍神の辰年ということで、名は体を現すがごとく、龍さんは更にエネルギーに満ち溢れているという。

梅原龍三郎の作品に感銘独学で模写に励む日々

青山学院女子短期大学英文科を中退後、司法協会、広告代理店勤務。ここまではいわば平凡な日々であっただろう。しかし、29歳の時に独立。事業家としてスタートをする。時流に乗り、3つの会社を経営し、それこそ飛ぶ鳥落とす勢いで仕事に専念する。しかし、ある時、億という負債を出し、会社は倒産へと追い込まれる。勢いのある事業家に突然襲い掛かった挫折。「悶々とした時間を過ごした」という。

そんなある日、百貨店の梅原龍三郎の展覧会へ行き、頭の奥で何かが弾けた。「不思議でしたね。迸るエネルギーを感じとった瞬間だった」そうだ。絵画とは全く無縁であった龍さんであったがそれを切っ掛けに独学で偉大な画家たちの作品を教材にひたすら模写に励む。ルノアール、マネ、ゴッホ、そして歌麿とこれまでに名画を千点ほど模写した。一作品について何枚も描く。不惑の40歳の時からである。模写作家としての作品の数々は、池袋のサンシャインシティオーブン当時、「絵のある通り」に飾られたこともあり、また、展覧会も開催した。

不惑の40歳を過ぎ画家として本格スタート

42歳の時に事業家と結婚。そして長女を出産する。龍さんの新しい人生のスタートであった。夫の経済力と包容力のもと、龍さんはこれまで以上にのびのびと驀進していく。

昭和50年頃から作風に変化が訪れる。「あれは、宇宙からのメッセージのようなものかしらね」と龍さん。そして波動のある絵画に取り組み、60年、十一面観音像をテーマに抽象的宇宙空間と仏像の合致した油彩作品を制作する。以降は、抽象と具象、宇宙と現実、静と動という極めて対照的な世界を融和した作品を精力的に生み出していくのである。見るものを幻想的で神秘的雰囲気の漂う異色の仏絵と抽象画という龍さんのオリジナルな作品の数々を海外国内に発表し続けている。

生涯現役でいたいそのパッションが大切

美容と健康の秘訣を聞いた。朝夕に入浴をする。食事も肉・魚・野菜とバランスよく栄養を摂ることが健康維持に役立つそうだ。そして絵を描くときに「手と目をフルに使うこと」。これがポイントだ。

最後に今後の希望を聞いてみた。「生涯現役が目標!日々、しっかりと、仕事をすること。今が人生の中で一番充実していると思って生きている」と明るく笑った。

おすすめ書籍

「財政支出ゼロで220億円の新庁舎を建てる」
溝口禎三 著

財政支出ゼロで220億円の新庁舎を建てる

豊島区をこよなく愛する著者が前著『文化によるまちづくりで財政赤字が消えた』に引き続き書き下ろした第二弾!「豊島区に住んでいて良かった」としみじみ思える本です。

定期購読のお申込み

『豊島の選択』購読をご希望の方は、詳細をご覧ください。お申込みは、お問合せフォームからお受けしています。