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52号

特集
「区民活動コーディネーター」の導入を提案します!

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特集
「区民活動コーディネーター」の導入を提案します!

豊島区では今、これまでになく「まちづくり」を考える民間の学習会・交流会が各地域で活発に行われているのをご存じだろうか。
来年5月にいよいよ開庁する新庁舎、そして移転後の現庁舎地や造幣局地に絡む都市計画的な目的のものが多いかというとそれだけではない。
消滅可能性都市の話題から発した女性向けのまち施策をテーマとするもの、地域コミュニティの再生、空家のリノベーション、都市緑化の推進、外国人との交流、マンガ・アニメなどサブカルチャーの発信、世代間の共助、防災体制の準備など、さまざまな分野を対象に20人程度で集まり語らう会が頻繁に各地域で開かれている。そしてその年齢層も幅広く、特に30代の若い世代が参加しているのが目立つ。
そこで、この「まちづくり」機運の高まっているときに、豊島区にこれから必要とされるであろう行政のトップマネジメントと地域のコミュニティマネジメント、二つの視点から具体的なマネジメントの方策を考え私案を述べる。

新たな人材との融和を叶えるマネジメントとは
こうした動きは、これまで高野之夫豊島区長を先頭に、行政が豊島区のまちづくりの話題をいろいろと発信してきたことが奏功しているといえる。しかし、これらの会は決して行政に促されたわけではなく、あくまで自発的なものである。今や、SNSなどネットを使ってさまざまな方法で情報伝達し合う環境を背景に「まちづくり」の話題は新たなものを生み出せる面白いものと捉えられているのだ。
本誌は、これからの時代の「まちづくり」の展開について、新たな人材との融和が課題と捉える。より良い提案をいかにして一緒に取り組み、実現することができるか、それは行政も地域も「望ましい選択」のための関係をいかに幅広い区民と持つかに通じている。つまり行政が持つマネジメントの手腕、言い換えれば仕組みと姿勢に命運がかかっている。
トップマネジメントには内容の濃い議論の対峙が必要
こうした動きは、トップマネジメントは、すなわち区長の政策力、そして実行力の源だ。これは、行政内部の登用、人事配置だけではなく、区民と行政がともに考え合う関係を充実させようとする視点が大切だろう。なぜなら、行政内部となる役所の人事は、公務員としての人事考課制度による評価規定を前提に動いているため、必ずしも「チャレンジ精神」が評価されるとは限らないからだ。政策形成過程において行政内部からは「今できる範囲」という意識での施策が提案されがちなのはそのためである。
それを一歩踏み出し、「できるようにする」のが区長の役どころであるが、区長の方針に説得力を持たせ、政策を 実行する技術面も含めて区長側に立ってサポートする専門知識を持つスタッフも大きな推進力となる。
行政各部の部長課長級と区長が内部議論で対峙し、さまざまな可能性が潜む政策について「望ましい選択」を検討するには行政内部の人事評価を受けない民間知識人の知恵も必要ということである。
もちろん、行政が重視する公平性、公益性の担保や効率性、安全性という視点も重要であり無視できるものではない。だからこそ専門知識を備えた内容の濃い議論の対峙が求められる。

コミュニティマネジメントには広い視野を持った推進者が必要
一方、コミュニティマネジメントは、区民同士のつながる力、一緒により良い環境を作るチーム力を形成する。
区民参加により区民が行政と対等に公共を論じることができる環境づくりこそが「望ましい選択」の大前提であり、選択されるべき方針はこの判断にかかっている。よってトップマネジメントにおける議論もコミュニティマネジメントのなかで、情報が正確に伝わるかどうかが鍵を握る。
これについては、地域のなかの日常の場面で区民に接し、コミュニティ施策の日々の進行を支援する役割が大切であろう。なぜなら、地域に関わる主体的メンバーが増えれば増えるほど、力を増すと同時につながって何かを生み出すことも複雑になり、推進力が必要となるからだ。
新たな人材が増えるということは、それだけ様々な立場や意欲を理解するゼネラリストでなければ共感を得られない。もともと職位や上下関係のない日常の場で、区民同士がより良い意欲を持てるようにサポートする広い視野を持った推進者は必須なのである。

「政策専門委員」と「区民活動コーディネーター」の採用を
そこで、2つの役割を担う人材制度を提案したい。
トップマネジメントには「政策専門委員」を採用すること。これは地方自治法174条にある専門委員のことである。
この専門委員は専門の学識経験を有する者から首長が選任して置くことができるもので、首長の補助機関として行政執行のための直接の調査機能を果たす非常勤の特別職になる。単に設定したテーマのみを調査し、アドバイスするというのではなく、その委託テーマにおける
①個別の政策のアドバイザーを発掘する
②政策形成過程の情報収集と公開、広報手段を管理する
③マーケティング分析をする
など包括的な調査機能を委託することもできる。
「今、豊島区に望ましい選択は何か」ということについて、民間レベルの情勢や情報を取得しうる専門家と行政人の情熱的な討論と研鑽によって、区長の決定する政策選択肢を多岐にもつ環境をつくることが、トップマネジメントの補佐機能の強化になると考えられる。
コミュニティマネジメントには「区民活動コーディネーター」を採用すること。区民による自発的で有効な公益活動を一層推進するべく、それぞれの活動グループの事務局役を担うスタッフだ。活動の内容への指導には踏み込まず、関係構築の業務をサポートすることに専念することで、目的に対する丁寧な進行が図れる。
①会議準備、会議進行、会議録の作成をする。
②広報、情報管理、連絡、事務資料作成をする。
③意見聴取や対外交渉準備を担う。
地域コミュニティの自発的なまちづくり活動を支える事務局業務を積極的に担い、地域の様々な問題について語り合う場やメンバーの掘り起こしなど、地域を活性化するリーダーを支えると同時に公共を肌で感じ取れる自らのグループの代表を育成することもできる。

「今、豊島区に望ましい選択は何か」自らの地域を愛する区民、公共を大切に考える行政人、社会を発展させようとする各界の知識人、このお互いの情熱的な討論と活動によって、区長の決定する政策選択肢を多岐にもつ環境が、これからの協働型区政に必要ではないだろうか。
どうかこの私案をたたき台に、ご意見を賜りたい。

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