最新号66号が発刊されました。

66号特集
新時代に向けて真っ只中の豊島区

池袋を世界に発信できる都市へ!
池袋駅周辺地域再生委員会 byみんたん

未来に希望のレールを敷く『池袋鉄道模型芸術祭』 
特定非営利活動法人 日本鉄道模型の会 理事長 平井 憲太郎

「先進まちづくり事例」特集版
来年3月に刊行

今月のキラリ人
子育てアドバイザー 自転車安全利用コンサルタント
北方真起さん

などなど盛りだくさん

特集:豊島区 2015年
新時代に向けて真っ只中の豊島区
街場の豊島区2015雑感 ちょっと気になる7の視点

2015年も早12月、過ぎてみればあっという間というのは毎年のことだが、今年の豊島区は大きな変化を示す事象が集中した年だった。
二月、「消滅可能性都市から持続発展都市へ としまの本気!」と名付けた今年度の予算案では、「女性にやさしいまちづくり」と「国際アート・カルチャー都市」という新たな方針が前面に掲げられ、三月、旧庁舎跡地活用事業の優先交渉権者が決定、四月、選挙で高野区政の五期目が始まり、五月、54年ぶりに新庁舎へ移転開設、七月、池袋駅周辺地域が特定都市再生緊急整備地域に指定を受け、八月、国家戦略特区に追加された。
豊島区は新時代に向けて今まさに、大切な取り組み時期の真っ只中にある。だからこそ、この際、本誌が街場の声から実感する、ちょっと気になる視点を挙げてみたい。

【女性のまちづくり】
女性によるまちづくり会議は継続していいのでは

昨年は、消滅可能性都市対策でF1会議(20~35歳の女性)が開催され、予算に反映する施策が提案された。こうした女性によるまちづくり会議は、一時的でなく、その後の提案事業の経過を検証したり、F2、F3など多世代による施策案も加えるなど、継続してこそ「女性のまちづくり」が充実するのではないだろうか。
あるいは、地域ごとでも女性会議を開催することで地域参加を促すことにもつながるかもしれない。

【マンガ・アニメのまち】
トキワ荘とアニメイトが共存する特徴をどう表現するか 

トキワ荘のマンガ史とアニメイトの人気・コスプレのパフォーマンスをシティセールスとして示したいことはよくわかるが、共存する特徴をどこに持つのかがはっきりしないので、個別のイベントが中心の事業に見える。
そもそも「マンガの聖地」「アニメの殿堂」というには「マンガ文化」「アニメ文化」の何を伝え、何が得られ、感じられる場所なのかが必要かもしれない。それが世界に伝われば真の「聖地」「殿堂」になるはずだ。きっとできる。

【国際アート・カルチャー】
企画者 観客の関係だけでなく、参画できる場を増やせないか

国家戦略特区のビジョンにもなる「国際アート・カルチャー都市構想」すでに全国を舞台に活躍する11人のプロデューサーにより59のプロジェクト案も示されている。
また、先頃は、前文化庁長官の近藤誠一氏を座長に迎え、著名な学識経験者や文化人が揃う懇話会も発足し、長期的全体的展望に立った戦略を検討することになった。
超一流の企画者と文化人については申し分ない、素晴らしい企画と戦略が期待できるのだが、これだけでは、優秀な企画者と観客(区民)の関係でしかない。企画を実践し、都市に定着させるのは、自らの街の将来像に期待する区民だ。区民が企画の実践に協力・参画してこそ都市構想は実現される。
区では、今後、区民による「国際アート・カルチャー特命大使」の任命を予定しているが、名ばかりでなく、実際に参画できる場をどう作れるかが大切だろう。
 
【副都心再生・再開発】
池袋の魅力の源流、明治・大正期の文化要素も忘れずに

特定都市再生緊急整備地域の指定を受け、いよいよ拍車がかかる副都心再生。池袋は東口も西口もさらに再開発の計画着手が始まりそうだ。
都市の再生は、魅力の再生、資産価値の再生だというなら、都市自体の持つ独特の魅力に、もう一度注目する必要がある。池袋の都市としてのイメージは、「戦後」のものが強いが、草地に駅ができて街ができてからわずか100年余り、池袋を都市にした第一世代は明治・大正の時代だ。そこには戦後とは異なる日本を代表する文化要素がたくさん揃っている。
池袋らしい魅力の創出と再生には、明治・大正期の都市文化にも少し目を向けていただければと思う。東京のどこもが同じ街に見えてしまわないためにも。

【インバウンド・国際都市】
豊島区が好きな外国人と一緒に街について語り合うこと

昨年2014年の訪日外国人観光客数は対前年比29.4%増の1341万人、国内消費も前年比43.3%増の2兆305億円と過去最高を記録し、今や訪日外国人観光客の拡大は経済政策の柱ともなった。2020年に向けてインバウンド対応のまちづくりを考える必要も出てきている。
池袋ではすでに民間による「池袋インバウンド推進協力会」がさまざまな活動を展開し、また豊島区観光協会も「外国語ボランティアガイド」の準備が進んでいる。
観光施策の面から、また国際都市化の面からも外国人に対応するまちづくりの視点は不可欠な時代だ。それには、まず豊島区の街が良くなってほしいと考える外国人の視点を知ることが必要だろう。たくさんの外国人が住んでいる豊島区なのだから、街が好きな人もたくさんいるはずだ。

【豊島区役所】
時間に追われる検討会議が多すぎ、話し合う時間のために

「とにかく忙しそうな区役所の方なので、会話する時間がない」「区の検討会議に区民公募で参加したが、意見を言う余裕がない」という区民の声を良く聞く。忙しそうな職員を気遣って、会議であまり余計なことは言わないようにしているのだが、資料すら会議の直前になるので意見も出てこないという声もあった。
確かに重要な案件が多く、区役所は忙しいらしい。そのため予定調和の進行でないと区民に約束したスケジュールに間に合わないという状況もあるようだ。
今、豊島区の将来像への取り組みがスタートする重要な時期に、時間さえあれば区民とより多く会話を持ちたいと思うのが区役所側も本音だろう。
忙しすぎる区役所の現状にも対応を考えていただきたいが、一方で、私たち区民にもやれることがあるかもしれない。
それは、任意で交流会を開催することである。その呼びかけは役所に任せないで自主的に行う。区役所の担当者はゲストとして招けば良い。豊島区はその呼びかける事務コストぐらい予算に加えておいてもいいのではないかと思う。これは街場の知恵である。

【豊島区議会】
議会報告会は今年、開催しないのだろうか

昨年11月17日に区民センターで行った第一回豊島区議会報告会は、今年二回目を開催する予定はあるのだろうか。昨年は100名以上の参加があり、報告書も作成されていて、継続して報告会の形態や活用方法などブラッシュアップすれば良い機会になると思っていた。
今年は、国でも重要な政治決定が相次いでいる。豊島区も4月の選挙で新しい区議会議員が選出され、重要な案件に対して報告会で議会の議論の内容を伝えることは意義あることだと思う。新聞報道では、七月に23区議会で唯一提出した「平和安全法制に関する意見書」と「寄付に関すること」が印象に残るが、豊島区の将来像についての議会の活動を伝えてほしい。

大きな変化が生まれた年の年末だからこそ、来年以降の発展のために、今の豊島区の状況を今一度落ち着いて考えてみたい。
来年の「とっぴぃ・豊島の選択」にもご期待ください。

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