最新号67号が発刊されました。

67号特集
2016年 国際アート・カルチャー元年に

都市構想から実現戦略へ、そのロードマップを問う
高野之夫さん(豊島区長)
前田三郎さん(国際アートカルチャー都市チーフプロデューサー)

豊島区をもっと住みたい街にするために
byみんたん

今月のキラリ人
中小企業診断士 重松久惠さん

先進まちづくり事例
要町ご近所フェスティバル

池袋モンパルナスのココロ
エコール・ド・パリの東京支店「1930年協会」

などなど盛りだくさん

特集:2016年 国際アート・カルチャー元年に
都市構想から実現戦略へ、そのロードマップを問う(その1)

高野之夫さん 豊島区長

五年後の東京五輪を機に、日本は世界に向けて国際都市の機能を充実させようとしている。豊島区は新たな都市構想を打ち出して約一年、今年はその目標に向かって具体的に動き出す、まさに「国際アート・カルチャー元年」となるだろう。
聞き手:小林俊史 本誌編集長

区民の特命大使とともに、日本の推進力になる

激動の2015年を超えて

―昨年12月には、平成28年度から10年間の基本計画(素案)の発表があり、「豊島新時代へ」の言葉が載りました。

昨年は豊島区にとって歴史的に大きな変化が生まれた年だったと思います。まさに激動の一年です。54年ぶりの新庁舎のオープン、特定都市再生緊急整備地域の指定、国家戦略特区の追加指定と続きました。今後10年の基本計画の姿勢は消滅可能性都市から持続発展都市への絶えまぬ挑戦であると位置付けていますが、それをスタートさせる条件が揃った一年でもありました。

―その目標が「国際アート・カルチャー都市」なのですね

区制70周年の「文化のまちづくり」を機とする「文化創造都市」と、80周年の「セーフコミュニティ国際認証」を機とする「安全・安心創造都市」の集大成が「国際・アート・カルチャー都市」です。
これまでに区民の皆さんが培った豊島区の芸術・文化の多様な魅力を世界に向けて発信し、世界中の人々が集い、賑わいと活力に溢れる都市にしようということです。

―「国際」都市としたのは、やはり20年の東京五輪、その後の新時代を意識したのですか

東京は、今2020年後に向けて大きく変わろうとしています。その中に確実に豊島区も参加しているということです。50年前、前回の東京五輪の時はどうだったか、会場となる運動施設がなかったこともあり、参加というには遠かったかもしれません。今は世界中が五輪とはスポーツだけでなく文化の祭典との認識を持っています。豊島区では、これまでにそれぞれの地域人が文化を引き出して「まち」の顔が表れてきました。訪日する世界のお客様に豊島区の魅力を楽しんでもらう体制ができてきたのです。新時代とは、世界に評価される「まち」、人口減少社会にあっても持続して発展を続ける「まち」になるという決意です。

日本の推進力になる役割

―昨年11月に「国際アート・カルチャー都市懇話会」を設置し、今年3月に実現戦略の一次答申を受けるとのことですが。

懇話会は、前文化庁長官の近藤誠一氏を会長として、これまで文化の面でご指導いただいた特別顧問の方々や都市構想策定にあたられたプロデューサーの方々など錚々たるメンバーにさらに区内の地域団体の方が加わって、「文化」「空間」「国際」の三つの面から具体的な取り組みや仕組みをまとめてもらいます。なかでも特に注目しているのは「オールとしま」での推進体制のことです。
1月12日には「国際アート・カルチャー特命大使」を新たに設置します。区民の皆さんが主役として文化都市を創り上げる一翼を担っていただきたいと考えています。
―多くの方に大使への就任依頼があったと聞きました。「何をする大使なのかわからない」という声も多かったのですが。
私は、この都市構想実現への行程を「区民のための区民による文化活動」だと考えています。
まずは、「アート・カルチャー」がどう語られ、取り組まれているかを間近で見ていただきたいのです。区内でどんな活動が為されているかを知っていただき、私流ですが、一緒に走りながら考えたいと思っています。連絡会を設けて意見交換も行う予定です。最終的には500名ほどの区民の方々にお声掛けする考えですが、全体をみんなで盛り上げようと呼びかけるつもりです。

―区長の仰る「全体」とは

消滅可能性都市と指摘された際に自覚したのは、持続発展するまちづくりとは、日本全体の問題ということです。都市には都市の、地方には地方の果たすべき役割があり、それは連携することで効果を発揮すると再認識しました。豊島区は、人が集まる高密な都市として日本の課題に取り組む役割を疎かにしてはなりません。
それは私たちの都市の持つ魅力を伸ばして日本の推進力になるということです。地方と相互に役割分担しながら、日本全体の問題に区民が一体となって取り組むことで、私たちの持続発展の活路は開けると思います。

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溝口禎三 著

財政支出ゼロで220億円の新庁舎を建てる

豊島区をこよなく愛する著者が前著『文化によるまちづくりで財政赤字が消えた』に引き続き書き下ろした第二弾!「豊島区に住んでいて良かった」としみじみ思える本です。

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