最新号69号が発刊されました

69号特集
豊島区人口推計と
将来目標の関係を見る

2060年で30万人
人口減少社会でも持続発展する総合戦略は

爆買いに徹底抗戦!「池袋のインバウンド事情」
byみんたん

今月のキラリ人
NPO法人「ささえ手」代表理事 斉藤美和子さん

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などなど盛りだくさん

特集:豊島区人口推計と将来目標の関係を見る
2060年で30万人
人口減少社会でも持続発展する
総合戦略は…

総務省が発表した2015年国勢調査の速報値で、1920年の国勢調査開始以来、初の人口減となった日本。1億2711万人は5年前より94万人減で、人口減少社会が改めて裏付けられたことになる。
昨年12月、豊島区は区の人口の現状と将来展望を示した「豊島区人口ビジョン(素案)」と、将来的な人口減少社会を踏まえた今後の目標と具体的な施策を明らかにした「豊島区まち・ひと・しごと創生総合戦略(素案)」の二つを公表した。
豊島区の人口ビジョンと人口減少社会を踏まえてなお持続発展するための区の目標値を示している。
昨年35年ぶりに
28万人超え、
豊島区人口は増加傾向

豊島区の総人口の推移をみると、最も人口が多かったのは昭和39(1964)年の35万3,953人。
その後は、人口や経済機能の東京への一極集中で都心部の地価が急騰し人々が住宅を郊外に求める傾向から、都心部の人口は減少し、豊島区においても平成9(1997)年に246,505人までに減った。
その後、バブル崩壊による地価下落等が都心回帰を促したことで、再び人口増が現在まで続いている。
豊島区は昨年35年ぶりに人口が28万人を達成した。今後も東京(特に区部)への人口一極集中が一定期間は続くと推測されている。
しかし、35年前の昭和55(1980)年時点と現在の人口構造を比較すると、年少人口が半数となり、高齢者人口は2倍以上となって顕著な少子高齢化は明らか。
特に豊島区の年少者の割合は、新宿区、中野区に次いで3番目に低い。(図1)

豊島区の人口動態の
特徴は

定住率(現住所に5年間居住している区民)を見ると、男性42.2%、女性49.1%、この数値は23 区の中で下から5番目に低い。(図2)
特に20~30歳代前半のいわゆるF1世代の定住率が低くなっている。また、単身世帯が多く、15~29歳層で転入・転出が活発になっているのは、区内に大学や企業が多いため、進学や就職に伴う転入、また狭小な住宅の割合が多いことから結婚・出産に伴う転出などが推測されている。これは合計特殊出生率が低い要因にもなる。(図3)
豊島区は交通利便性が高く、商業施設や飲食施設がそろっているなど、首都圏で暮らす一人暮らしの学生や社会人が希望する住まい探しの条件に合致しており、ワンルームマンションの建設ニーズが高い。平成8年以降はファミリータイプの住宅供給も多くなっているが、平成22年時点で30㎡未満の居住世帯の割合は27.8%と23区で5番目に高い。高齢単身世帯数も増加傾向にあり、独居高齢者の見守り等が課題となっている。

 
消滅可能性都市
23区で唯一になった
計算根拠

豊島区人口ビジョンでは豊島区が消滅可能性都市に該当した計算根拠にも言及している。
平成26年5月に「日本創成会議」が消滅可能性都市の自治体を抽出する際、基にしたデータの国立社会保障・人口問題研究所(以下「社人研」)による将来人口推計の社会移動の算出方法に起因していると指摘した。
社人研では、豊島区の近年の人口動態(平成17~平成22年)の傾向が「昭和60年~平成12年」の趨勢から大幅に乖離している」自治体とみなし、平成27年以降は平成17年以前の趨勢に回帰する」との仮定で推計を行ったため、多くの自治体では平成17~22年までの社会移動率を使用したが、豊島区は平成12年~17年の社会移動率を使用していた。(図4)
豊島区は平成9年から人口増加に転じていたが、平成12~17年は、社宅の廃止が集中したり都市計画道路整備に伴う建物の除去などの特殊状況があった時期で、このことが豊島区の近年の人口増の傾向が、反映されていなかったものとまとめている。
施策なしでは
徐々に自然減少
目指すべき人口設定は
30万人

豊島区の推計では、日本の人口減少社会が進行し、地方からの人口流入が今までのように望めない場合を想定した低位の将来人口推計(パターンA)では、平成37(2025)年までは約28万7千人をピークにゆるやかに人口は増加するが、その後は減少し、平成72(2060)年には27万人を割り込む見込みとなっている。生産年齢人口(15~64歳)は現在の70%から60%に低下、高齢者人口(65歳以上)は20%から30%に増加する。
こうした状況では、区民税収入の減少、医療費介護費等の社会保障費の増大、公共施設の維持管理費の不足などをはじめ、将来の区政運営の低下にさまざまな影響が想定されるとして、区はこの人口減に対応するため戦略的な子育て支援策や定住策などを加味した場合の目指すべき将来人口(パターンB)を設定し、これを豊島区の目指すべき将来人口と位置付けている。
この推計では、総人口はしばらく増加傾向が続き、平成37(2025)年に約29万2千人となり、そして平成66(2054)年の約30万3千人をピークに減少傾向となるが、平成72(2060)年には約30万2千人を維持することができるとしている。(図5)
 
目標値を示す
「豊島区まち・ひと・しごと創生総合戦略」

この「豊島区人口ビジョン」で示した将来展望や目指すべき人口推移の実現に向け「まち・ひと・しごと創生法」第10条に基づいて今後5か年の基本目標や基本的方向、具体的な施策をまとめたものが「豊島区まち・ひと・しごと創生総合戦略」。 
豊島区基本計画が示した重点施策の4つの柱、「女性にやさしい街づくり」「高齢化への対応」「様々な地域との共生」「日本の推進力」がどう展開し、結果を反映させるのか5年ごとの具体的施策と目標値を確認することができる。(図6)
今後5年、平成31年の主な目標値は、「子育て世代の定着率69%から75%へ」「65歳健康寿命、男性80.3歳女性82.0歳から男性81.4歳女性83.1歳へ」「観光情報や地方の物産情報に接することができる22.5%から30%へ」「平日一日あたり滞在人口97万6千人から130万人へ」など目標の見える化にチャレンジし、ほか施策もそれぞれに指標を示している。(5p表)

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