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80号特集
豊島区 平成29年度予算案を見る

29年度予算は
『公民連携を進め新たな公共へと発展する予算』

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特集は以下から読めます。

特集:豊島区29年度予算案を見る

29年度予算は『公民連携を進め新たな公共へと発展する予算』

豊島区の平成29年度予算案が公表された。
区はこの予算の特徴を、持続発展都市に向けて『公民連携を進め新たな公共へと発展する予算』と表現し、これまで以上に民間活力を活用した新しい公民連携の手法により、多様化・高度化する行政需要に応えつつより安定した財政基盤を目指す予算となっている、と説明した。
29年度予算、特にこの『公民連携』に触れながら、新規・拡充の内容を中心に紹介する。

投資的経費は平年化、課税人口は増加も、全体の歳入は微増

一般会計の当初予算規模は1167億1百万円、対前年度比51億7百万円4.2%減となり、5年ぶりのマイナスになった。 これは、学校改築等の完了に伴い投資的経費が平年度化したことで前年減となったのが主な要因。
歳入の基本となる特別区民税は1億9千万円増と前年度比0.6%で、過去最大だった平成4年の312億円に匹敵する規模となった。人口増による課税人口の大幅な増はあるものの、ふるさと納税による寄付金控除額の減収が前年度の4億円から7億円に拡大する見込みで、歳入の増加幅が圧縮されている現実がある。結果的には、4年連続で財政調整基金の取り崩し等をせずに予算編成できているが、区はこれ以上ふるさと納税による税の移転の拡大は看過できないと強調している。

公民連携推進担当課長を新設

歳出では、『公民連携』と謳った通り、様々な政策分野に民との連携を拡大し、これまでにない新しい施策の創造を強化する方針が見える。
新規拡充事業でも目玉とした公園トイレの改修では民間企業との連携や協力、提案により新たなモデル事業を進める予定だ。このほか、混合介護でも新たな制度設計に着手、2020年に向けた池袋エリアのブランディングでもエリアマネジメントや国際競争力強化のために企業と積極的に協働で取り組む展開を予定している。またPFI手法や東西デッキの助成などでは企業の計画に合わせて効果的に施策を進める意図が明確に出ている。
区は今年、これまでの新庁舎整備や庁舎跡地活用のようなハード整備に限らず、地域課題のより効果的・効率的な解決を図るため、専管組織として公民連携推進担当課長を新設するとした。企業等のCSV(Creating SharedValue=共通価値の創造)経営の動きが広がる中、比較的大規模な民間事業者をパートナーとして想定した「新たな公民連携(NPPP)」モデル事業の総合調整、横断的な展開を図るとともに、企業等からの相談・提案窓口を一元化する目的を担う。

重点分野の特色ある新規7事業は

29年度の新規・拡充事業は全227事業、約80億9千万円。特色ある新規事業7つを挙げてみる(事業数と予算額は左図のとおり)

(1)女性にやさしいまちづくり
①公園トイレ改修事業…区内133カ所の公園トイレ、公衆トイレを3年間で全面改修する。民間企業と連携し、従来の「公衆便所」のイメージを刷新するおもてなし品質の向上を目指す。
☆セブンイレブン・ファミリーマート。ローソンの各コンビニ業者の協力の下、身近で安全に利用できるトイレ設置店約200点をマップ等で案内する。
☆コカ・コーライーストジャパン社と包括連携協定を結び、PPP方式(PFIや指定管理制度、公設民営、民間委託など)でトイレ建て替えを順次実施する。
☆トイレ関連事業者から短期の更新を前提に設計施工一括方式で提案を求めてコスト削減を図る。(7000万円 公園緑地課)
②待機児童関係事業…平成29年度末に待機児童ゼロを達成することを最重点課題と位置づけ、過去最大の新規拡充分を計上した。
☆私立保育園誘致関係事業・H29年度は13園の新設を目指す。区役所2階に庁舎内認可保育所を開設するほか、池袋西口の都税事務内にも30~50名定員の保育所開設を準備している。
☆居宅訪問型保育事業・従来重度障害時に限定されていた対象を待機児童にも拡大、昨年12月からスタートし、現在10名の定員を80名に拡大する。
☆認証保育所保育料負担軽減補助事業・認証保育所との差額助成について上限を撤廃する。
☆保育コンシェルジュ設置促進・保育所選びや様々な保育サービスの利用を支援する専門員を増員する。
☆民有地マッチング事業・保育所整備のための民有地や空き家等の物件を募集し、保育事業者とマッチングするコーディネーターを配置する。ほか(31億9千万円 保育課 保育制作担当課)
(2)高齢化への対応
③混合介護の弾力化に係るモデル事業…現行制度では認められていない介護給付サービスと保険外サービスを同時・一体的に提供する「混合介護」の弾力化に向け、全国に先駆けて取り組み、H30年度の実施を目途に制度設計に着手する。(620万円 介護保険課)

(3)日本の推進力「国際アート・カルチャー都市」
④東アジア文化都市推進事業…国家プロジェクトである「東アジア文化都市」の2019年開催都市に立候補、「舞台芸術・祭り」「マンガ・アニメ」を中核とした各種事業を展開し、世界が認める国際アート・カルチャー都市に飛躍する。(1500万円 東アジア文化都市推進担当課)
⑤南長崎マンガランド事業…区立南長崎花咲公園にマンガの原点「トキワ荘」を復元し、2020年春にマンガ・アニメミュージアムとしてオープンする。(4053万円 文化観光課)
⑥4つの公園整備事業…国際アート・カルチャー都市構想が掲げる「まち全体が舞台の誰もが主役になれる劇場都市」具現化する場として池袋駅周辺の4つの公園を劇場空間として整備し、多彩なイベントを展開する。今年度は池袋西口公園整備と南池袋公園のイベントに新規拡充。(500万+1000万円 公園緑地課 文化デザイン課)
※中池袋公園は新ホールと一体的にイベント等に広く利用できる公園として整備。造幣局跡の新公園は区内最大面積(1.7 ha)の防災公園と新たなパブリックスペースとして事業者をプロポーザル方式で公募する。また、旧高田小学校跡地の近隣公園は、はらっぱやボール広場、地域コミュニティ施設を持つ公園として整備するため旧小学校を解体する。(既存予算24億4500万円 公園緑地課)

(4)安全安心まちづくり
⑦池袋駅東西デッキ整備事業…西武鉄道池袋ビルの建設に合わせ南デッキの一部としてびっくりガード上空デッキを整備する。事業主体である西武鉄道㈱に対し事業費の一部を補助する。これにより、びっくりガードのバリアフリー化が図られるとともに、災害時には、ビル敷地内デッキと合わせ2000㎡の広場が退避経路、一時待機場所として活用できる。(1億6400万円 交通基盤整備課)

区議会予算委員会は2月17日(金)から始まる第1回定例会内で開催されます。

※「とっぴい」では今年度予算執行にかかる課題を次号以降で掲載予定です。

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