最新号86号が発刊されました。

86号特集
女性にやさしいまちづくりの目指すもの

豊島区に期待する 
まちの新たなプレイヤー(担い手)の発掘と
活躍の場の提供

子どもたちの好奇心を地域で育む夏 
調べる学習コンクールinとしま
byみんたん

池袋疾走日記 
2017.8 by古市コータロー

今月のキラリ人
地域の人々はまさに家族!助けられ、励まされ、毎日が充実 
豊島区長崎・皆川美香さん

先進まちづくり事例 池袋西口公園 2019年秋
円形舞台とステージのある劇場広場を創出

『大塚ものがたり』【後編】
優しいまち おおつかの原点とは 
城所信英さん

などなど盛りだくさん
特集は以下から読めます。

特集:「女性にやさしいまちづくり」の目指すもの

豊島区に期待する まちの新たなプレイヤー(担い手)の
発掘と活躍の場の提供

豊島区は今や23区で一番、「今までのイメージが変化した区」として注目されている。
「副都心・商業都市・池袋のある区」から「住みたい街NO.1」へ、「繁華街で有名な街」から「公園とフェスティバルで有名な街」へ
2014年に消滅可能性と言われて以来、区はその対策として「女性にやさしいまちづくり」を重点計画の一つにし、着実に取り組みを進め、その成果が少しずつ表れ始めている。
これまでにない「新たなテーマ」へのチャレンジに取り組んでいる宮田麻子担当課長に、今後の展望を伺う。
(聞き手 本誌・小林俊史編集長)

行政らしくないから面白い
「としまSCOPE」×
「マチマチ」の情報発信

――昨年11月よりとしまScopeを開設、運営していますね。
宮田課長:「としまSCOPE」は、働く世代や子育て世代の住民をメインターゲットにしていて、ネットでの情報入手が主な、これまでリーチできなかった層へ情報発信しています。
いわゆる行政のお知らせや地域PR型のサイトでなく、豊島区のサイトと知らないで見ている方も多いようです。
固くない表現で区の「使える情報」をお伝えすることで、公共施設等と利用者とのマッチングができていると感じています。
また、豊島区の立地、環境を活かした多様な働き方や、ライフスタイルを楽しむための情報も発信しています。区内で活躍する人々にスポットをあてる記事などは注目されていて、他区で見ている人も多く、「豊島区は面白い街だなぁ」という外向けの発信にもなっています。
「マチマチ」との連携は、こうした区からの働きかけをより発展させ、区民同士の情報交換の場として使っていただくことを期待するものです。

――8月30日に新たな情報発信として、ご近所SNS「マチマチ」と区との連携を発表されました。
「マチマチfor自治体」はすでに首都圏を中心に4200以上の地域で利用されているコミュニケーション・ツールです。
携帯電話番号を用いて実名で登録し、利用範囲を小さい地域に限定することなどによって、顔の見える地元の住民ネットワークにこだわったサービスができることが特徴です。 
隣近所の知り合いの家の玄関を訪ねて「ちょっと教えて」的な会話の感じで情報の「やりとり」をするような、スマホ時代の井戸端会議のイメージで使っていただければと思っています。
「わたしらしく、暮らせるまち。」ブランディングのしくみづくりは一対一から多方向へ

――宮田課長が着任して1年半ほど経ちます。この間の施策展開と課題についてどうお考えですか
豊島区は2014年に消滅可能性都市から持続発展都市への重点施策として、高野区長が「女性にやさしいまちづくり」を掲げ、同年開催のとしまF1会議・100人女子会からの提案を翌15年に予算化・実行、そして、昨年16年は、「女性にやさしいまちづくり関連事業」を重点化し、担当課を設置しました。
キャッチコピー「わたしらしく、暮らせるまち。」は、ひとりひとりのライフスタイルを大切にすることを基本コンセプトに、誰もが自分らしく暮らせるまちを目指すものです。
これからの多様な暮らし方を模索する若い人たちにとって、いろいろな選択肢と応援がある魅力的な地域になるために、これまでの施策は、主にこのまちづくりへの方針をブランディングする発信及び参加機会と仕組みづくりを進めてきました。
前述した「としまSCOPE」の開設をはじめ、これまで次の事業を展開しています。
〇としま・イクボス宣言
『イクボス』は、職場で共に働く部下・スタッフのワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(経営者・管理職)のこと。豊島区では都内の自治体で初となる産・官・学が連携した「としま・イクボス宣言」を参加団体67団体と、全国最大級の規模で行いました。
〇FFパートナーシップ協定
区と民間の持つノウハウや資産の相互連携により、女性や子育て世代・働く世代をメインターゲットとする様々な事業を公民連携・協働で進めていくため、個々の企業等と包括的な協定を締結するものです。
これにより、さまざまなコラボレーション企画が開催されていきます。
〇「女性×防災×アート」
ツクモル by Toshimaプロジェクト
女性や親子の視点を取り入れた「災害に役立つグッズ」の制作や、気軽に参加できる防災ワークショップを開催しました。豊島区在住の女性クリエイターとのコラボレーションを行うことで、豊島区の女性が「防災」とカジュアルに向き合える場を創出しています。
〇一緒に「まち」を考えよう!FFミーティング
働く世代や子育て世代の皆さんが考えるたくさんの「こんなまちになったらいいな!」の声を拾い上げています。
1回目は、庁舎跡地エリアネーミングについて、2回目は公園について考える、でした。固定メンバーではなく、今後も毎回テーマごとに募集する形を予定しています。

次なる課題は、こうした相互連携の形を1対1から、さらに多方向に、複数×複数に発展させることだと考えています。
参加の機会も仕組みもそうした多層の交わりにより充実していきます。多様な暮らし方の発想が生まれ、それにチャレンジできる地域であることが実感されるようになると、この「わたしらしく、暮らせるまち。」の姿が見えてくると思っています。

この秋、オープンな
「まちづくり」会議を始動

――豊島区の地域について最初の印象から変わってきたことはありますか。
私自身、以前から豊島区の住民でしたが、正直「住んでいる街」というイメージを超える特別なものはありませんでした。
しかし、実際に地域を調べて知ってみると、まちづくりに関わるプレーヤーの方が思った以上に多いなぁという印象を持ちました。地域社会はとても多くの住民の方に支えられているという認識を新たにしました。また、まちづくりの施策を実施するなかで、自分の住む地域のことに関わりたいと思っている人も多くいることを知りました。 
区が、そうした地域に関わりたい新たな人の背中を押すことができれば、区政もより区民全体のニーズを把握し、反映していけるはずです。できるだけ敷居を下げて、いろいろな区民の人たちに伝える媒体を増やしたい、と思うようになりました。
特に、若いファミリー層や子育て世代、新しい働き方を模索する人など、今までなかなか地域社会に顔が見えなかった世代が地域にデビューすることは、地域の声のすそ野が広がり、今まで隠れたニーズを行政に活かす機会になると考えています。

――今後の施策展開で大切にしていることは何ですか
「女性にやさしいまちづくり」は、女性だけが声をあげてまちをつくるということではなく、ファミリー世代や働く世代の「サイレントマジョリティー」がいかに地域に愛着を持って、豊島区での暮らしを創り出していただくか、だと思っています。
豊島区の良さは「庶民的」な雰囲気と「利便性」の高さを併せ持つ 「職住接近」の優れた環境です。豊島区らしさにこだわったオリジナルな政策を提供していくためには、この地域に可能性を見出そうとする「サイレントマジョリティー」の人たちの発想やニーズ、今までにない、こういう目線もあるということを把握することが必要なのです。

「わたしらしく、暮らせるまち。」は、縦割りの行政の中でも、特に横串の視点で反映していかなくてはならないテーマです。
だからこそ、これからは多世代への接点が大切になると考えています。
この秋11月には、公民連携、多世代の住民を含めた「まちづくり」のフューチャーセッション型作戦会議の開催を予定しています。
オープンにフラットに、住民・企業・行政が話し合う機会にしたいと思っています。ぜひ、ご参加ください。

――ありがとうございました。

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