最新号89号が発刊されました。

89号特集
池袋副都心移動システム 回遊バスの導入へ

2019年運行開始
回遊バスで「誰もが安心な観光都市・歩行者優先の街」を実現!…

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン
日本最大級のクラシック音楽祭が池袋に!
byみんたん

池袋疾走日記 
2017.11 by古市コータロー

今月のキラリ人
古事記の面白さ 地元発信の朗読劇で広めたい!
女優 湯川美波さん

先進まちづくり事例
コミュニティハウス「ユウトヴィレッジ南長崎エリート」
長田昌之さん

平成29年第四回区議会
定例会招集あいさつ(全文)

などなど盛りだくさん
特集は以下から読めます。

特集:「池袋副都心移動システム」回遊バスの導入へ

2019年運行開始
回遊バスで「誰もが安心な観光都市・歩行者優先の街」を実現!

 今年9月に行われた第三回区議会定例会で高野之夫区長は「池袋副都心移動システム」として電気で動く「EVバス」の導入にかかる計画とデザイン検討の経費を補正予算に計上した。
その後11月の副都心開発調査特別委員会では、実施計画と基本デザイン、導入車両の予定会社の選定について報告している。
 2019年東アジア文化都市の開催年に運行開始を予定するこの「EVバス」の狙いと今後の取り組みの課題について、担当する都市整備部交通・基盤担当課の原島克典課長と交通政策グループ和田吉也係長に伺う。
(要約・抜粋 本誌・小林俊史編集長)

観光に主眼を置いた回遊バス
2019・20年の来街客に焦点

――バスの導入はどんな経緯から始まったのですか
原島課長:豊島区がすでに策定していた池袋副都心交通戦略にも国際アートカルチャー都市構想の実現戦略にも「歩行者優先のまちづくり」は具体的な実現目標としてありました。池袋駅前周辺に過度に集中する自動車交通を減らして歩行者を中心とした誰もが回遊できるエリアづくりをする取り組みは、新たな公共交通としてLRT(次世代型路面電車)等の導入を含めこれまでも調査、検討してきたところです。
今回、来るべき2019年の東アジア文化都市、そして2020年の東京オリンピック・パラリンピックを迎えるにあたり、環状5の1号線地下道路(池袋東口駅前の明治通りを通過目的で走行する自動車のう回路として作る地下自動車専用道)がまだできていないなかで、この機会に今できることからやっていき、池袋に観光で訪れる多くの来街者に向けて歩行者優先のまちを作っていくという意思の見える「まちづくり」を体感していただこうという計画になりました。

――それは観光バスと考えていいのでしょうか
原島課長:今回は2019・20年を視野にして主に区内の観光スポットを回遊する来街者の移動手段として考えています。区内の交通不便地域におけるコミバス的な公共交通は2020年度以降の検討として今回のものとは別に検討することにしています。
というのも、その2年間を機として池袋を中心に豊島区内では、区が目標とする国際アートカルチャー都市の舞台が整い、催される文化活動や人のにぎわいが一層充実していくことが見込まれています。
インバウンドの誘客も視野に入れ、区内の地理に不慣れな方でも安心して観光拠点を回れるような都市の実現には、歩行者の移動とそれを補助する乗り物、つまり公共交通が必要になります。これまでの区の交通政策に沿って過剰な自動車交通に頼らず歩行者優先のまちをつくっていくという姿勢のうえでも、過剰に集中する交通渋滞を制限しつつも歩行者の補助的な公共交通を導入することは大切です。今回のバスだけでなく、区内の観光スポットを回遊する移動手段としてはシェアサイクルの方法についても導入できるか同時検討で考えています。

水戸岡鋭治さんによるデザインバス
いつも街を走っている風景

――バスの型状やデザインは決まったのですか
原島課長:4月の池袋東口フラワーフェスティバルと10月の池袋ハロウィンコスプレフェスの時期に候補車両の試乗なども行い、その後11月には車両選定委員会による公募型プロポーザル方式でバスの車両予定会社を決定しています。契約がまだ済んでいないので会社名の発表は12月後半になる予定です。
また、今回のバスのデザインについてはJR九州のクルーズトレイン「ななつ星」をはじめ、個性ある電車や路面電車、バスなどをトータルにデザインされる水戸岡鋭治先生にお願いすることができました。
水戸岡先生は池袋のお近くにお住まいでもあり、高野区長が標榜されている「豊島区の観光都市としての価値を上げること」に特段の意欲と共感をお持ちいただいています。
高野区長は、水戸岡先生の目を引くデザインで、珍しいものが走っているぞ、という仕掛けは都市のメッセージにもなるはず、浅草の人力車のようにいつでも街中を走っている風景がある「乗って街を見る」乗り物として池袋に定着させたいと、お話されています。
そのデザインについては春頃には概要をご覧いただきたいと思っています。

――今後の手続きと予算支出額の想定についてはいかがですか
原島課長:来年度は、バス車両の購入やバス停などの関連設備などのイニシャルコストは一定の予算措置をとる予定です。バスの台数については、ルートや運行間隔によっても必要な台数は変わってきますが最大10台と考えています。一方で、運行を含む運営経費としてのランニングコストは、公民連携による財源の確保方法について知恵を絞り、なるべく抑えたいと考えています。今後、来年度早々には運行主体の選定に入りますが、選定の要件を精査し、経費を効率的にしながら豊島区民の皆さんとともに、まちづくりに効果ある取り組みができるよう努力していきます。
今年の第一回定例会で高野区長は想定する予算額を2億から3億円程と発言しています。東京都の環境局等の助成事業の申請ができるかなども考慮しているところです。  
2018年度には、水戸岡先生のデザインした車両を購入する予定です。また、ルートの想定を含めた運行主体の選定要件を整え、運行主体の選定、運営委託の契約等に入ります。バス停などの関連設備の設計・整備・工事等も年度中に完了し、2019年度には走行する予定です。まだ実際の運行開の時期は、検討中ですが、これら車両の購入整備費や工事費等は2018年度の予算に計上する予定です。

初めてのお客様でも、回って安心、見て楽しい池袋を

――この先の課題と期待をお聞かせください
原島課長:今、お話しした通り、区の経費相当分がどれだけになるかは当然の一番の課題です。そのほかについて言えば、実際の走行ルートが大事だと思っています。豊島区の観光拠点を見ていただくことができ、また、来街者へのおもてなしにつながるサービスになるよう考えたいと思っています。そのためには地域の区民の方々とのコラボレーションもできるような取り組みにしたいという思いです。
豊島区ならではの魅力あるルートとサービスを目指したいと思いますが、一方で、道路構造令や車両制限令の規定から、この比較的小さなバスでも走行できる道路の幅員は制限があり、つまりルートは限られてしまうというのも事実です。 
試乗会でのアンケートの感想でも街を見て回遊するにはちょうど良い低速走行が評価されながらも、大通りではその低速による渋滞が心配されています。幅員ギリギリのところを走行できるようにするための対策などもできる限りは行いたいところですが、そこに過剰な予算はかけられないと思っています。
今後、運行主体と地域の皆さんとのエリアマネジメント的な知恵と工夫がサービスに反映できるよう考えたいと思っています。

走行後に期待することは、池袋に訪れるお客様が、安心して迷うことなく回遊できる新しいツールとして全国からの認知を受けることです。街の魅力は安心感であると思います。
池袋なら、日本の方はもちろん、外国からの方でも、初めて来ても、回って安心、見て楽しい、どこへ行っても大丈夫、格好良いバスが見えれば安心、という観光都市のイメージを持ってもらえることを想像します。
このバスが話題になることは間違いないと思いますので、乗った方がまた乗りたいと思えるサービスやまちづくりとともにリピーターも増えて、いつも満員御礼、これでは足りないという状態になれば、もっと乗車人数の多いLRT等にしようよ、ということにもなるのではないでしょうか。

――ありがとうございました。

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