最新号56号を発刊しました。

56号特集
まだまだ伸びる豊島の観光
シナジー効果を発揮しよう

まちのかたちの条件が決まる
用途地域と地区計画は今年が勝負

池袋が映画の街に!! 2017年、大規模シネコン誕生!
byみんたん

まちに広場を
池袋の路面電車とまちづくりの会 溝口禎三

先進まちづくり事例
スポーツを長く楽しく続けられる「基礎運動」向上都市にしよう

今月のキラリ人
日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)

などなど盛りだくさん
特集は以下のリンクから読めます。

一般社団法人豊島区観光協会
「新春豊島経済人フォーラム」より

まだまだ伸びる豊島の観光
シナジー効果を発揮しよう

昨年、日本を訪れた外国人旅行者の数は、1341万人。これまでで最も多かった、一昨年の1036万人を300万人以上増やして過去最高を数えた。
これに伴い、外国人旅行者の消費総額も過去最高、前年比43%増の2兆305億円と初めて2兆円の大台を超えている。
いよいよ観光立国の潮流を引き寄せる日本経済、豊島区の経済人はどうこれを迎えるのか。豊島区観光協会で1月26日に開催された「新春豊島経済人フォーラム」の講演から、まちと経済の動きを伺う。

澤田博司氏
(日本ホテル株式会社代表取締役社長)
池袋でホテル(ホテルメトロポリタン)を経営する立場として昨年2014年の訪日外国人数が1300万人を超えたことは喜ばしいことです。2015年の1500万人、2020年の2000万人という国の目標は達成できるものと考えています。
これは政府のビザ要件の緩和や免税制度の拡大といった施策が、訪日観光の誘発を促進していると思います。特に最近はタイ、マレーシアなど東南アジアからのお客様が急増しています。
ホテルメトロポリタンの昨年の宿泊者データで申し上げれば、アジア42.1%、北米7.1%、欧州6.8%ほか全体の約6割が外国人のお客様です。アジアの国別では台湾8.3%、香港7.8%、中国7.3%、タイ5.1%、韓国3.6%という内訳になっています。
また個人旅行者が7割、団体旅行者が3割、平均宿泊数3日という傾向です。予約の申込もインターネットからが57%、代理店経由43%となっており、インターネットの口コミサイトからのリピーターも多くなっています。

こうした状況に至る経過としてホテルが力を入れてきたサービスがいくつかあります。
一つは、ゲストリレーションの新設です。言い換えれば「よろず相談」というものですが、外国のお客様からは、相撲や歌舞伎のチケットを取ってほしい、日帰りで富士山に行くルートを教えてほしい、近場で美味しい店、ハラル認定レストラン、ミシュラン三ツ星の店はどこ、などのご相談を受けるコンシェルジュ(専門員)を置いています。
彼らには地元の情報も貴重なサービス資源になります。
二つに、口コミの分析と早い反応です。トリップアドバイザーなど、サイトからの声にご不満を持たれた意見があった場合でも即座に改善すると直接お客様から良い反応が返ってくることが多くあります。
三つにWifi環境のフリー化です。
四つに、多言語対応の強化です。ホテルでは「テレビde通訳」という外部サービス をいち早く導入しました。タブレット端末越しに通訳してくれるコールセンターのオペレーターにつなぎます。急病の時などとても助かっています。また、ホテルスタッフも朝食の際など母国語で「おはようございます」と挨拶するおもてなしも心がけています。
五つに、食の安全安心をわかりやすくです。飲食提供の際には食材ピクトグラムを使い、見るだけでどんな食材が使用されているかをお伝えしています。
外国のお客様に日本で楽しんだことを伺ったところ、多いのは1位日本食 2位ショッピング 3位繁華街の街歩き 続いて自然や景勝地でした。トップ3はどれも池袋の魅力で十分満たされるものです。池袋の観光資源の力に自信を持っていいと思います。

あらためて池袋の魅力を考えれば、1、交通至便 2、「本店」「ブランドが多く買い物に便利。3、ラーメン店は自社調査ですが、半径500mにに池袋99店、新宿85店、渋谷68店と断然多いです。4、マンガ・アニメのサブカルの先進地として定着しています。また5、桜、6、安全といったキーワードも十分PRできる環境にあります。

ほかに今後は、免税制度が改正され、商店街での免税手続きも業務委託や一括カウンターの設置が可能になっています。また「アニメのまち」といったインパクトがあります。イベント情報の発信など例えば川越など他の観光都市と連携して行うことも効果的ではないでしょうか。

鈴木誠一郎氏
(㈱サンシャインシティ代表取締役社長)
サンシャインシティは複合ショッピングセンターとして年間3000万人のお客様にお越しいただいています。
オフィスには在館者1万3000人以上がいらっしゃいます。リーマンショック前は空室率が2%でしたが、リーマン直後10%を超えてしまいました。反転したのは2013年ごろからです。現在は1%になっています。都心五区でも5年7か月ぶりにに5%に戻ったというニュースがありましたが、もともと5%は不動産マーケットでは適正在庫率と考えています。既存のお客様の増室の希望に応えるためです。執務環境の優れたオフィスが選ばれるため、まちの魅力は資産そのものです。
日本の商業施設の年間売り上げ状況を申し上げれば小売り部門139兆円のうちショッピングセンターはその約20%の約30兆円、全国に3200店舗あり、毎年50店から60店が増えている状況です。続いてチェーンストアが約13兆円、コンビニが約10兆円、百貨店が約6兆円、そこに電子取引が11兆円です。
今はリアル店とバーチャル店のせめぎあいのなかでリアル店はどう戦うかが問われています。
日経リサーチの2014年3月の首都圏集客力ランキングでは、新宿伊勢丹が1位 渋谷ヒカリエが2位 池袋西武百貨店が3位、サンシャインは10位。郊外の大規模なSCもありますが、お客様は、ハードからソフトへ、モノからコトへ、個店の努力と地域の魅力を掛け算するような魅力を求めています。
お客様のライフスタイルをいかに見つけるか、そしていかに別の購買動機と結びつけた相乗効果を提供できるかが重要だと考えています。
サンシャインシティのコンベンションホールでは、アニメ関連イベントが年間20回以上も行われるようになりました。イベントの中身も変わってきています。
実は日本は水族館王国です。世界の水族館の20%、70館も水族館があります。それでも年間100万人以上集客する館が10館以上もあります。これも日本の魅力になる文化の一つです。
私の実感として、観光客が池袋からバスに乗って他の都市へ行ってしまうのを見ると残念でなりません。
会社でも言い続けていますが、アミューズメント、文化、街の景観など、単体の力だけでなく、他の魅力と相乗するシナジー効果を発揮することが集客できるまちづくりの大切な要素です。
「投資、人、企画」そのオペレーションが、地域の皆さんとシナジー効果を発揮するとき、豊島区はナンバー1の街になると思います。

ひとこと
地元の観光資源を知ること、地域や企業、異なるものの努力を知ること。これがシナジー効果を生むスタートだと感じました。このような情報交換が豊島区をさらに前進させていく貴重な源になるのでしょう。お二方と観光協会に感謝申し上げます。

おすすめ書籍

「財政支出ゼロで220億円の新庁舎を建てる」
溝口禎三 著

財政支出ゼロで220億円の新庁舎を建てる

豊島区をこよなく愛する著者が前著『文化によるまちづくりで財政赤字が消えた』に引き続き書き下ろした第二弾!「豊島区に住んでいて良かった」としみじみ思える本です。

定期購読のお申込み

『豊島の選択』購読をご希望の方は、詳細をご覧ください。お申込みは、お問合せフォームからお受けしています。