最新号58号が発刊されました。

58号特集
現庁舎地の活用案 決まる
7つの劇場とオフィスタワー

現庁舎地はにぎわいの舞台に変わる

豊島区の女性をブランドに! 西武池袋本店「エリアモード」
byみんたん

さあ選挙に行きましょう 大桃豆腐 大桃伸夫

先進まちづくり事例
としま案内人 駒込・染井

今月のキラリ人 池袋「Absolute Blue」
代表 星川あゆみさんさん

平成27年度 豊島区役所 部課長名

などなど盛りだくさん
特集は以下のリンクから読めます。

特集 現庁舎地の活用案決まる
優先交渉事業者の提案内容を発表 70年借地で191億円

7つの劇場とオフィスタワー
現庁舎地はにぎわいの舞台に変わる!

豊島区は3月20日、現庁舎地活用事業の公募プロポーザル審査結果として、東京建物株式会社を代表事業者とし、株式会社サンケイビル、鹿島建設株式会社を構成員とするグループを優先交渉権者とすると発表した。
グループの事業提案は「誰もが輝く劇場都市」をテーマに、新たなビジネス・文化・にぎわいの拠点を創造する複合開発を計画、大規模オフィスを中心に、シネマコンプレックス、商業施設を整備するというもの。
このうち新ホールは建物竣工後に区が取得して運営・管理を行い、民間施設は70年間の事業期間にわたり民間事業者が維持管理・運営を行う。
解体・建築期間を含めた借地期間は76年6か月に対し、一括前払いで191億円の地代を提示、区の条件を50億円超える金額となった。
今後、詳細設計や事業提案の内容を具体的にしながら平成28年3月に正式に定期借地権の設定契約を結ぶ予定だ。

都市空間そのものが劇場
副都心の新たなランドマークに
現庁舎地(A敷地)は、約146m30階建の超高層オフィスタワーになる。容積率は総合設計と一団地認定の活用により、公会堂地(B敷地)から移転することで、総床面積で六万四千㎡、うちオフィス用の延床面積は四万八千㎡と高規格の大規模オフィスを実現し、池袋副都心の中核を担うビジネスの舞台を形成する。
また、中池袋公園を囲む文化創造拠点は、区が希望している宝塚歌劇やミュージカル、歌舞伎などの演目に対応する1300席の新ホールと区民文化活動の区民センターホールに加え、3D技術を発信するボカロ劇場、建物の中と外をつなぐ大階段によるパークプラザなど、多種多様な7つの劇場で計5千人の収容が可能なテーマパークを創出する。
これらはグループの構成員となる日本最大のメディア・コングロマリット「フジサンケイグループ」による低層部のにぎわい創出とあわせ、都市空間そのものを劇場に見立てる効果を発揮すると期待されている。
区の資料によれば、年間の集客は、650万人(にぎわい300万人、ビジネスワーカーで350万人)、経済効果は270億円という(関西大学宮本勝浩教授の分析)

決め手は、資金面、にぎわい効果の期待値、
国際アート・カルチャー都市
今回のプロポーザル公募は6社が応募した。現在は他の案や審査結果について公開されていないが、(区の情報公開基準により来年3月の正式な契約締結までは非公開となっている)本案の決定の根拠は、おそらく資金面の絶対差と低層部のにぎわい創出効果への期待値、国際アート・カルチャー都市への整合性という三つにあると考えられる。
別表の審査項目と配点表を見ればそれが見える。資金面で40点、事業計画面で60点と、比較的資金面の比重が多いことと、さらに集客力とにぎわいでの優れた提案に10点加点があることだ。
発表の席で高野区長も「191億円という新庁舎整備費141億円を大幅に上回る額をご提案いただき…」「7つの劇場とフジサンケイグループによる運営面の全面的バックアップによる文化にぎわい創出は「今、まさに幕が上がる!瞬間」「とりわけ1エリアの中に多種多様な7つもの劇場が集積するという、他に例を見ない「劇」的空間を創出した案は、本区がめざす新たな都市像である「国際アート・カルチャー都市構想」と方向性を一にするものであります」とコメントしている。

まちづくりの姿勢と
不動産市況の追い風が叶えたスキーム
実際、2年前に区がこの現庁舎地活用事業を民間にPRした際には、池袋の当該敷地に対する評価は区が見込むほどの金額には到らなかったようだ。
当初、再開発後の事業内容はオフィス利用に絞りたいと考えていた区も、途中からは住宅利用も可と変更したのは、不動産市況の動向を考慮したためでもあった。
しかし、結果的に新庁舎整備に必要な額の評価の確保とオフィス利用があわせて叶ったのは、周辺まちづくりに取り組む区と地域との姿勢が民間事業者に理解されたことに加え、不動産市況の回復という追い風があったことが大きいといえる。
これにより、新たな借金をせずに負担を先送りすることなく新庁舎の整備をするという高野区政の公約は果たされることとなる。

不確定要素をいかに失くすか
この1年が鍵を握る
しかし、真の課題はこれからだ。本来、区がこの計画に見込んでいるさまざまな事業が本当にできるのか。
たとえば宝塚や歌舞伎ができるホールの詳細設計は実現するか、もとより、それらの事業運営の道筋が立てられるのかどうか。
あるいは、2年後には東池袋1丁目、新庁舎の目と鼻の先に、民間による首都圏最大規模のシネコン(12スクリーン、約2600席)ができるプロジェクトがあるうえで、さらにスクリーン数9、約1,600席の本格シネコンは本当に相乗効果を生むのか。(現在全5館17スクリーン(約3,800席)が全7館38スクリーン(約8,000席)と倍になる)
あるいは、フジサンケイグループのバックアップによるにぎわい創出の具体的構築とは、どんな期待ができるのか。メディア関連やクリエーター、コンテンツ制作の企業等が池袋に集積することなどを期待できるのか。
期待は大いに高まるが、不確定要素は多い。正式契約までのこの1年をかけて、この事業の成功を遂げてほしい。

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